2019年1月15日火曜21時よりフジテレビ系列カンテレ開局60周年特別企画として『BRIDGE(ブリッジ) はじまりは1995.1.17神戸』が放送されました。
1995年1月17日午前5時46分、6000人を超える犠牲者を出した阪神・淡路大震災の実録ドキュメント映像も交えてのスペシャルドラマです。主演は井浦新さん。
こちらの記事では『BRIDGE(ブリッジ) はじまりは1995.1.17神戸』のネタバレや感想とあらすじを紹介していきます!
「BRIDGE(ブリッジ) はじまりは1995.1.17神戸」あらすじと感想やネタバレ
「BRIDGE(ブリッジ) はじまりは1995.1.17神戸」のあらすじ
1995年1月17日。阪神・淡路大震災は、神戸の街を一瞬で破壊した。
JR六甲道駅では、駅が崩落。これでは物資も運べず、大阪へ通おうにも徒歩通勤を余儀なくされる。六甲道の人々は、ただ呆然と立ち尽くしていた。
そこに現れたのは一人の男・高倉昭(井浦新)。六甲道駅の復旧を担う建設会社・磐巻組の工事所長だ。まだ日常の残っている大阪に比べ、わずかな距離の神戸は、全てを失っている。高倉は、ある決意をした。通常なら、2~3年かけて復旧させる規模の工事。しかし、JRからの指示のもと、彼らがとった工法は、“ジャッキアップ”という奇抜なものだった。柱が壊れ、崩れ落ちてはいるが、先人たちが作り上げた高架橋の躯体そのものは、頑強だった。この高架部分をジャッキで持ち上げ、固定する。大きな危険と困難を伴う難工事になるが、これにより、工期を大幅に短縮できる。
高倉は偶然出会った六甲道育ちの少年・春日豊(野村周平)を工事の記録係に任命する。春日は持っていたビデオカメラで困難に立ち向かう人々を映像に収めていくが、実はそのカメラには彼の秘密が隠されていて…。
2018年の秋、神戸にある阪神・淡路大震災慰霊碑に落書きをした少年の前に、謎めいた男(椎名桔平)が現れた。23年後の春日だ。いつかの自分のような少年に、春日は秘めてきた思いを語っていく。
希望を失った神戸の人々と、そこに集まってきた人々。嘆きや悲しみを抱えながらも、助け合い、ぞれぞれの困難に力強く向き合う人間たちの姿が、時を超え、今を生き抜く勇気を我々に与えていく…!
「BRIDGE(ブリッジ) はじまりは1995.1.17神戸」の感想
ネットにあがっていた『BRIDGE(ブリッジ) はじまりは1995.1.17神戸』への感想の声をひろってみました。
「BRIDGE(ブリッジ) はじまりは1995.1.17神戸」のネタバレ
~
≪うわ!
うわ うわ!危ない 危ない。
≪何ちゅうことや ほんま。
長田が。
~
≪むちゃくちゃなっとる。
≪これは
映像だけのものだと思ってました。
~
~
(佐渡島)はぁ はぁ…。
(吉田)待て!
(佐渡島)はぁ はぁ…。
(佐渡島)はぁ はぁ…。
(吉田)おい!お前ら。
はぁ はぁ…。
(吉田)おい こら!待てや こら。
くそガキが どこ行ったんや。
(三井)俺 ちょっとあっち見てきます。
おう。
はぁ はぁ…。
はぁはぁ はぁ…。
≪(回想)外おいおい おい!D。外
≪外お~い!外
≪外おいおい おい。 おい おい!外
外よいしょ~!外
(吉田)
外こら!*こら 2?してんねん。外
(佐渡島)外ヤバい 来た…。外
(吉田)外こら 2?をしてんねや。外
(三井)外ちょっと
2?をしてんねん おA0ら。外
~
~
(佐渡島)おぉ~!
(三井)何しとんねん!
(佐渡島)おぉ~!
(吉田)ちょっと待て お前。 おら!
(佐渡島)放してくれ。
(吉田)待て こら。
放せ!放してくれ。
放してくれ やってない。
~
(吉田)
落書きはな 器物損壊ていう罪や。
(三井)お願いします それで はい。
ただな
お前が汚したのは ものやない。
心や。
慰霊碑なんやぞ
亡くなった人らを祭ってる。
やんちゃしました すんません
そういう話じゃない。
(三井)吉田さん この子の話も
聞いてみましょう ねぇ。
少年課は?
(三井)あぁ 今 電話しましたので。
はぁ~。
(春日豊)あぁ… どうも。
お巡りさん どうも。
この だぼが!
(三井)あぁ… ちょっと。
おい!あぁ~!
(三井)ちょっと ちょっと…。
あぁ~!
(三井)何をしてんの ちょっと。
(吉田)やめんか。
いや… すんません すんません
お巡りさん
ほんま ごめんなさい もう。
わしね
こいつのおやじなんですわ。
お前 こら ぼけ!
情けないわ 情けない。
はぁ~。
もう 今夜はね
遅いし ねぇ。
ええ。
明日か あさって
少年課から連絡いきます。
ねぇ 素直に事情 話すようにね。
あぁ…。
本人に
言い聞かせてやってください。
あっ 暴力はあきませんよ。
あぁ… もう。
あぁ… お父さん こっち 座って。
はい はい。
ほな この… この身元引受書
記入お願いします。
あぁ これ書いたらいいん?
はい。
神戸市からでいいの?
ほんま すんませんでした。
気ぃ付けますんで。
(三井)いえいえ。
失礼します。
はい 行くで はい。
(三井)気を付けて ねぇ。
誰やねん おっさん。
なあ。
おやじは死んだ 5年前に。
痛いし。
あほやろ おっさん。
俺の住所も名前も全部うそかいて。
そんなん言うたって
お前のことなんか知らんがな。
何やねん
どっから湧いてきたんや。
ははっ 湧いてきたって お前
ははははっ。
≪外お~い!外
外ははははっ。外
外うわ めっちゃかわいいやん。外
外いやいや いやいや…。外
(佐渡島)それが
何でおやじになっとんねん。
警察におっても手ぇ出せへんやろ。
俺は被災者の代表や。
お前みたいな不届きなガキを
殺すために救い出したんや。
な~んちゃって。
はははっ
それっぽかったやろ? 今の。
はははっ
俺 ほんまはな 俳優やねん。
見たことあるやろ?
テレビでこの顔。 あぁ?
はははっ
まあ それも うそやけどもな。
ほな 一服しよか。
吸うか? あかんわな 子供やし。
うるせぇ。
ははっ はははっ…。
ちっ。
元気でな 佐渡島克也君。
南灘高校1年生
超進学校やん お前 頭ええな。
(佐渡島)外おい!*J|してくれ。外
外放してくれ やってない。外
外うるせぇ やめろ。外
佐渡島君は16歳か。
ジャ~ン!
はぁ? おい。
ジャ~ン!
(佐渡島)ちょ おい
ちょ 返せや それ おい。
はははっ…。
(佐渡島)俺のやつや 返せ。
ほんで 誰やねん。
俺か? 春日。
春の日と書いて春日や。
トゥース!
トゥース!とかちゃうねん おい
返せって なあ 返せって なあ。
トゥース!
トゥース!とかいらんねん マジで。
フ~ン フフフフン
フン フフフ~ン
なあ。
フ~ンフ~ン
どこに行くねん。
チャチャ~ン チャ~ン
神戸
ここが俺が生まれて育った街や。
「六甲道」?
20と3年前
お前が生まれる ずっと前。
平成7年
えと きのといの冬のこと。
さながらな
デザスタームービーに
迷い込んだような体験やった。
ありとあらゆるものが焼けた臭い
焦げた香りが
もう そこら中に漂ってた。
ちょっと これ見てみ。
俺が録ったんや。
何やねん これ。
(ナレーション)
<阪神・淡路大震災
そういう名前は まだなくて
兵庫県南部地震って
呼ばれとった。>
<地震の次の日の朝
この駅の周りや。>
<電車が動くわけがない。>
<3時間も4時間も歩いて
会社や学校へ行く。>
< ははっ
無駄に真面目や 日本人。>
<レンズを通して俺は見つけた。>
< がれきに
花を咲かせましょう。>
外 はぁ~
えらいこっちゃやで これ。
ず~っと…。
あっ ちょっと おねえさん
どこ行くん? 出勤?
(里津)
今日は会社じゃなくて大阪へ。
おぉ~。
あっ
電車どっから動いてるか
わかりますか?
もう わかっとうよ そんなん。
とりあえず送ってくから乗って。
あっ…。
いや ええから 乗って
遠慮せんでええから。
これ めっちゃ乗り心地…
痛っ。
(瞳)震災につけ込んでナンパって
どうしようもないゲスやな 豊。
ごめんな こいつ 近所の権太で
私がおむつ替えてやった頃は
きれいな心しとってんけどな。
今でも きれいじゃ!
これはな 清らかな善意やねん。
おばちゃんに言おか?
あんたがしてること。
あっ… やめて。
あっ すいません。
ほんまにバイク怖くて。
あぁ ええの ええの
人扱いせんでええの。
こいつ 人やないんやから。
ほっとこ。
誰が あほじゃ。
ねえ どこの人?
摩耶の海側です。
あっ 私は六甲道。
そや この時間で良かったら
朝 ここで待ち合わせせぇへん?
何や 心細いし
ああいう やからが
わらわら おりそうやし。
2人で歩かへん?
それ 助かります。
よっしゃ 決まり。 行こ。
私 服部瞳です。
ピッ!
(里津)はじめまして。
≫(有香)うぅ~ ううっ…。
何や?
(有香)あぁ~!
うぅ~!何で…。
どないしたん?
(小比類巻)豊君 昨日の夜
有香さんの店で
悪さしてないよな?
いや 何もしてへんよ。
(但馬)
怪しいやつとか見てないか?
有香さんは
駅の1階で薬局やってる。
地震で駅が潰れて
そのうえ お前…。
(有香)泣きっ面に蜂やわ!
ゆうべ 誰かが薬 盗んだ。
こっそり ごっそり!
ううっ… あんまりやわ。
(あだばな)ちょっと 今 何て?
駅 潰れたて 何 それ。
(有香)見てきてみぃ!
(但馬)わしは昨日 見た。
もう見たない。
終わった この街は。
(あだばな)
駅潰れたら 私ら… ちょっと。
(有香)あぁ~!あぁ~!
~
(あだばな)こんなん…。
(小比類巻)何で こんな…。
< こんなんになった駅で
誰も死なんかったんが
不思議なほどやった。>
<地震が早朝やったんが
不幸中の幸い。>
<神戸と大阪の間にある
六甲道で
東海道線が分断された。>
<人だけじゃない 貨物が滞って
神戸は陸の孤島になった。>
< そのしわ寄せが渋滞を生み
支援物資や救急車さえ
容易に動かれへん。>
<復旧なんか想像もでけへん。>
バチバチ!
おっ… 何やねん。
うわ!危な。
あっぶな あっ。
はぁ~。
こんなとこ置いとくなや。
(高倉昭)
大丈夫か? けが ないか?
おぉ… いや 俺は平気やけど。
駅?
≪(町田)高倉さん!
あっ 町田さん。
どうでしたか? 昨日。
いや うちは大阪です。
ひどい揺れでしたが
家族も会社も おかげさんで。
良かった うちもです。
あぁ…。
あぁ 今見てきました。
六甲道駅を施工したのは
磐巻組さんです。
おたくに相談すると
思うんですけど
何か 復旧案ありますか?
いえ… 自分もさっき初めて。
まだ整理できません。
≫(小比類巻)
あの駅は手抜き工事でしょ!
あっちこっちで
手抜きがバレてる。
崩れたビルのコンクリに
空き缶が入ってたり
鉄筋が入ってなかったり。
みんな言うてますよ。
違法建築甲子園かて。
あの駅も天災やない 人災や!
(玄能)私は
JR東日本の技術者ですから
施工業者を知りません。
それでも
あれは見事な仕事です。
躯体の頑丈さに驚きました。
手抜きだとお考えなら
専門家に
調べてもらってください。
必要な資料はそっくり提供します。
ご連絡ください。
(町田)ほな
今日 明日にも また連絡します。
はい。
(町田)よろしくお願いします。
気を付けて。
(町田)はい。
なあ バイトしないか?
はぁ?
いや 大阪から来たんだが
渋滞で半日かかった。
バイクなら。
あぁ…。
あっ 高倉です。
あっ… 春日です。
あの 春の日と書いて春日。
春日。
じゃあ 3万。
3万…。
~
下ろしたてだった。
じゃあ 1万でいいよ。
5,000円だ 5,000円。
5,000円?
あのね
俺の月の小遣い 教えてやろっか?
貧乏くさいのう
5,000円やったら
何もできへんやんけ。
~
~
いつもの大阪や。
~
バイクで たったの1時間。
~
どっちがうそで…。
どっちが本当だ。
~
どっちが夢で どっちが現実だ。
俺は どこに存在するんだ。
~
言うなや そういう複雑なことを。
~
おっ?
(奈々・もも)おめでとう~!
おぉ~!
(奈々・もも)せぇ~の…。
(もも)
ハッピー バースデー トゥーユー
ハッピー バースデー トゥーユー
ハッピー バースデー
もう ちゃんと歌って…。
(奈々)
だって 何か今更 恥ずかしい。
(もも)
えぇ~ 私だって恥ずかしい。
忘れてたよ。
はははっ 自分の誕生日。
(もも)いくつなったんやっけ?
ん?
プライバシーだ。
(奈々)何でやねん。
(もも)意味わからん。
いや~ 驚いた。
(奈々)はい ふぅ~ して。
ふぅ~。
(奈々)うぇ~い!
イェ~イ!おめでとう。
(奈々)おめでとう。
ありがとう。
(もも)よし よ~し!
イェイ イェイ イェ~イ ふふっ。
どうしたん?
あっ いや
電気 明るいなと思ってな。
ケーキ切ろか。
(もも)うん。
いちご食べた~い。
おいしそう。
(もも)いいケーキやな これ。
~
ううっ…。
~
どないしたん? こんなとこで。
どないしたん?
足 痛くなってもうて。
おぉ~。
豊君 瞳さんから聞きました。
お尻の右のほっぺに
大きなほくろがある。
あいつ 3回殺す。
おやすみなさい。
なあ 乗っていきぃや!
バイク 怖いんです。
いや ほんまに送るだけやから。
街じゅう 停電やし
危ないもん うろうろしとるし
…って 待って 待ってや~。
~
ここ ほんまに神戸なんかな。
一瞬で変わってもうた 何もかも。
ぱん!て手ぇたたいたら
目ぇ覚めて
元どおりやったりして。
パン!
パン!
戻らんわな。
~
ううっ…。
(奈々)どうなん? 神戸。
まあな…。
いや~ かなわんわ ほんまに。
ふふっ。
いつまでたっても
似合わへんな 大阪弁。
はははっ。
もし 工事入ったら
いちいち電話せんでもええよ。
私とももは大丈夫やから。
体だけ 気ぃ付けて。
石切さん お願いします。
ありがとう ママ。
ふふふっ。
ここ 入れとくで。
ああ。
大変なんやろ? これから。
うん。
まだ何も
わからないんだ。
おい とめてくれ。
えっ? あっ…。
江戸川さん。
ご無沙汰しています。
(江戸川)相変わらず やぼやな。
リタイアしたもんが
感傷にふける姿は
気付かんふりせぇ。
無作法で すいません。
やっぱり 気になってな~。
19年前か。
この橋を架けてる頃
初孫が生まれた。
で
どうすんねや これ。
まだ未定です。
ただ 今朝の会議で…。
外ジャッキアップって
あの高架を丸ごとですか?外
(西田)外落下した
R63 64 65 66。外
外六甲Bvは 見たところ
柱以外の躯体は壊れていない。外
外これを車のパンク修理のように
油圧式ジャッキで持ち上げて
そうして固定したい。外
(鶴)外模型やプラモとちゃう。外
外殊に R65は落ちただけやない
めっちゃ傾いてる。外
(花祭)外根拠があって
言うてきてるんでしょう JRも。外
(西田)
外JR東日本の玄能さんって人が
宮城沖地震で被害を受けた
東北新幹線の高架を
ジャッキアップで
修復したそうです。外
外順当に考えれば 復旧と復興の
2段階で考えるべきです。外
外まず 線路をう回させ
早々に東海道線を復旧させる。外
外がれきを片づけて駅と
ラーメン高架橋を新しく造り
その後 う回路を撤収して
完全復興させる。外
外2年…。外
外いや 3年。外
(西田)
外それ いくらかかるんですか!)|!外
外工費は青天井じゃない。外
外電車が止まった。外
外今 この瞬間も
損失が膨らんでる。外
外JRは
半年以内の復旧を望んでます。外
外半年?外
外半年?外
外そんなむちゃくちゃな…
半年って。外
う回は金と時間がかかる。
ジャッキアップは奇抜すぎて
前例が少ない。
他に何かありますか?
年寄りが口を出すのは無作法や。
いや… 江戸川さん。
政治 経済 何でもそうや。
引くべき者がへばりつくと
腐り 朽ちる。
定年になるとな
新聞ばっかり読むわ。
ほんだらな 所長。
北口に回ってくれ。
高倉さん?
大阪の本社に戻る。
後 お前 録ってくれないか?
はぁ?
どうせ ぷらぷらしてるんだろ。
記録係として雇ってやる。
いや 記録って何を?
カメラを回すんだよ。
風車と戦うドン・キホーテたちを
記録してくれ。
ここは明日から
ラ・マンチャになる。
分別のある利口者より
愚かさのほうが
仲間を集めるはずだ。
普通にしゃべれや おっさん。
お前はサンチョ・パンサだな。
俺は春日や!
春の日と書いて春日や!
よし!さあ 行くぞ!
落ちた橋さえ丈夫なら
ジャッキアップに耐えられる。
これは つまり 我々が
OBを信じられるかという話です。
(勝俣)OBって誰? 誰と誰?
(大内田)やはり う回でしょ。
いや あの 工期を
延ばしたいわけじゃなくて
作業員の安全を確保したいんです。
(阿南)大事やからね そこはね。
(大内田)はい。
(西園寺)暖房 暑ないか?
≪そうっすね。
暑いっすね。
≪あっ せや。 何か 冷たいもの…。
聞いて…。
聞いてください!
この会議のあと
俺たちは飲みにいける。
風呂でも飯でも 好きに楽しめる。
布団で休める。
たった30km…。
たった30km離れただけの
六甲道には
何にもない。
電気 ガス 水道 鉄道。
ないのは それだけじゃない。
それぞれ いっぱい失ってる。
俺たちにできることは何だ?
俺たちにできることは何だ!
~
シェイクスピアが こう書いてる。
(西園寺)
いいところでうっとうしい。
「Words without thoughts
never heaven to go」…。
(西田)話を進めましょう。
ジャッキアップ案を進める場合
まず がれき撤去。
それから 高架の強度検査と
補修が必須です。
検査結果をJR総研と検討して
最終的な判断を下す。
(鶴)それでも半年は無謀や。
(西田)
これしかないでしょう 鶴さん。
(大内田)どうにか期間を長めに。
いや 安全がね 最優先やから。
(阿南)
まあ 現場事故はね 怖いからね。
無理なもんは無理や。
諦めたら
そこで試合終了ですよ。
諦めたら そこで試合終了ですよ。
安西先生。
(大内田)
「スラムダンク」は反則ですよ。
(勝俣)それ言われちゃうと。
(阿南)そら そうなるわな ははっ。
(西園寺)
何や それ。 ようわからんけど
とにかく ジャッキアップのための
調査に着手する。
そういう結論でええな。
計算が立たん。
僕は賛成できません。
(花祭)
鶴さん 何でか酔狂な道を選ぶ。
それが磐巻組のDNAでしょう。
えぇ~?
≫はははっ。
やめろ。
(西園寺)
よし!会議は これにて。
すぐに取りかかってくれ。
(一同)はい!
鶴 花祭。
(花祭)はい。
行くぞ
六甲道へ。
俺らがやらなあかん!
おぉ~ ここや ここや。
ここやで~。
何やねん。
よっ。
あだばなさんの
スナックがあったんは ここや。
はぁ? ここ?
あぁ~
昔はな この辺 狭い商店街でな。
震災のあとに区画整理されたんや。
外(着信音)
おっ 何や? おっ ぶるってる。
「ママ」?
ちょっと それ 俺の。
ははっ。
お前 ええ年して
ママって呼んでんのか?
もしもし ママ?
ママ~。
今 高橋んちやから うん。
泊まるから 泊まる。
はいはい はい。
まだ たまはあるで~。
ちっ。 何がしたいねん おっさん。
復興のきれいな話 聞かしたら
泣いて反省する?
ははははっ。
泣いた 泣いた 反省 反省
反省してます。
これでええ?
おもろいこと言うな~。
なるほどな。
あのくそ地震は
お前が生まれるずっと前のことや。
昔話なんや。
あぁ~ そら実感ないわな。
よっしゃ。
20と3年前 平成7年
えと きのといの冬の夜。
鉄道 つまり この街の血管や。
血管が途切れた
血が流れへんようになったんや。
ほんでな
この街の臓器を蘇生するために
ほんま いろんな連中が
集まってきた。
おい ちょっと これ見てみ
これや これや。
何やねん…。
よいしょ。
~
外 おっ。
みんな 紹介しとこう。
今回の工事
ビデオで記録してもらう
春日豊君だ。
あっ… よろしくお願いします。
(花祭)
春日君か 副所長の花祭です
よろしくな。
あっ。
鶴です。
(御手洗)御手洗です。
~
~
こんにちは 大阪から来ました
ボランティアの炊き出しですわ。
昼間に…
昼間にラーメン作るんで
良かったら食べにきてな。
≪ラーメン!
≪みんな 食べにきてな!
ラーメン ほら!
≫えぇ~!
≪寒かったやろ。
≫ほら。
≪ありがとうございます。
≫みんな 寒かったやろ
もうちょっと待っときや。
今 みんなに あげるからな
ラーメン おいしいのな。
(発光)うっ はぁ~。
失礼します~。
ごめんくださ~い。
(ふみ子)は~い。
あっ。
お部屋って空いてますか?
(ふみ子)あっ
何人か被災した方が
泊まっとうけど でも
電気も水もなくて不自由ですよ
それでも良ければ…。
(発光)あたり前田のクラッカー
事情は合点承知之助です ふふっ。
(発光)私たちが
ここをよみがえらせます。
あっ…。
< ほんまに ありとあらゆる人が
集まってきた。>
(ふみ子)
豊 お客さん お荷物手伝って。
いらっしゃ~い。
(発光)どうも。
(ふみ子)すいません ばか息子で。
いや 大きい息子さん…。
< そういうころ 俺は。>
<俺は…。>
外 アユミちゃん
ニャニュニョできるかな?
外(アユミ)できる~!
ねねネコがねナニヌネノ
外 シッポをたてたら
いいてんき ニャン
ニャニュニョニャニュニョの
てんきよほう
あがり目?
≪うん。
あがり目まわり目ニャンコの目
はははっ ははははっ…。
外(アユミ)ははははっ…。
ははははっ…。
(小比類巻)電気やガス以上に
重要なインフラは
情報です 知ることです。
今日から配達を再開できることを
誇りに思てます。
まだ出てこられない
配達員がいるから
負担は増えたけど
お願いしますよ。
後 配れなかった分は
避難所に届けてください。
お願いします!
≫はい!
(小比類巻)
日枝さん 大島さん 川島さん。
おはようございます。
朝からですか?
はい?
外の人が羨ましい。
朝からですか。
(小比類巻)鳥和さん。
神様 すいませんね。
手水も塩も米もない。
祝詞も竹も神せんもない。
勘弁してください。
勘弁してください。
そうやって
あの日々が始まったんや。
所長の高倉さんはな
あんまり
しゃべらへん人やったけど
何かを教えるときには
あっつい人やったわ。
俺みたいな あほにでも
あれこれと話してくれた。
まあ ほぼわからんかったけど。
ははははっ。
これで お前も磐巻組の一員だな。
おぉ~。
春日
聖書に こんな言葉があるんだ。
<聖書の話は覚えてる。>
<神さんは7日で世界を作った。>
<初日に天と地を作って
そしたら真っ暗なもんで。>
よし じゃあつけて。
≫いきま~す!
<神は光あれと言った。>
(花祭)おぉ~。
よし じゃあ みんな
夜も お願いします。
(作業員たち)はい。
< それから毎日 神さんは
大地や植物や魚や獣や
ありとあらゆるもんを作った。>
弁当 来ました!
<人間を創造したのは6日目や。>
<神さん疲れて7日目は休んだ。>
<下請けには
チャーターしたバスや
大阪南港からの船で
通ってもらった。>
<元請けの磐巻組59名は
事務所に泊まり込んで
2交代 24時間働いた。>
<神さんでさえ7日目は休んだ。>
< この人たちの日曜日は
随分と先のことになんねん。>
~
≫はい。
けんけんぱ けんけんぱ
けんけんぱ。 じゃあ あっちも。
けんけんぱ けんけんぱ
けんけんぱ…。
外はははっ ははははっ…。外
外ははははっ…。外
≪(瞳)豊?
えっ… あぁ~
何? その格好。 えぇ~?
いや~ ダッサ~。
やめろ。
(瞳)あんた
まともに働くの初めてちゃう?
はぁ~。
あぁ~ 立派や~。
おめでとう おめでとう
おめでとう。
はよよこしや 就職祝い。
何や その筋道のウルトラCは。
(瞳)あっ りっちゃん 賭けへん?
豊が いつまでもつか。
私
1週間に500円。
えっ?
何やねん たこ焼きか お前。
おはようございます。
(作業員たち)おはようございます。
えぇ~ 本日も
割り振られた区画ごとの
がれき撤去に当たります。
えぇ~ 重機が増えますから
安全管理は徹底してください。
特にバックホウ周りと足場は…。
≪ガタガタ…
(花祭)倉さん!
ガシャン!
おぉ~ みんな 下がれ 下がれ。
(花祭)あの下に入って
ジャッキを置くわけや。
(鶴)言うたやろ 反対やって。
外(御手洗)おい!何やってんだ
ばか野郎!止めろ!
(御手洗)止めろ!
止めろって言ってんだよ!
(九頭竜)
邪魔じゃい!どけ こら ガキ!
(御手洗)おい!監視員はいない
ポールは置いてない
アーム当たったら死ぬだろ!
おい
年季が違うんじゃ 己らとは!
(御手洗)
ポール持ってきて!監視員どこ?
旗 ちゃんと持って!
(御手洗)決まりを守れないなら
来なくていいんですよ この現場。
(御手洗)
安全管理 徹底してください!
(花祭)おぉ~
國代!
(鶴)自分 長田やろ?
被災したって聞いたけど。
(國代寛治)25年ローンで
買ったばかりの家が
ぶっ倒れました。
あぁ~
女房と子供2人は無事です。
…となれば稼がんと ねっ。
ははははっ。
今日から復帰させてください。
所長 よろしくお願いします。
しばらく休んだらどうだ。
大丈夫です。
あんな お前のために
言うてるんやないねん。
どういうことですか。
いや あんな
お前 家 被災してて
家に あの 奥さんと子供おる…。
國代さ~ん!
何やねん 何があってん!
(御手洗)
俺は安全を訴えただけなんですよ。
あぁ?
安全係だから。
それなのに あいつ
俺の靴にガムを入れやがった!
チューインガムを!
いや 小学生か!
あっ 五百旗頭土建の九頭竜やろ?
なぁ?
はい… はい。
ははっ 明日 話つけとくわ。
おい!飲むで。
(御手洗)飲みましょう!
飲も飲も 歓迎会や。
≪飲むぞ!
あの~ すんません。
はい。
あっ。
あの 新聞の。
こちらの工事の人でしたか。
すいませんが
トイレ貸してもらえませんか?
うちは無事なんですけど
水 止まってるでしょ。
流す水を運ぶのが大変で。
すいませんが
今夜だけお願いします。
(花祭)あっ… あぁ こっちです。
(小比類巻)あっ。
えっ。
ここのトイレは
作業員専用です。
すいません お貸しできません。
いや トイレくらい…。
誰かに貸せば切りがなくなる。
ここでは毎日 少なくて300人
多くて600人の人間が
作業しています。
それだけの人間が ふん尿する。
タンクがあふれれば
我慢をすることになる。
作業に障る。
作業員が
被災者になっちゃいけないんです。
わかりましたよ!
あぁ…。
倉さん まあ
言いたいことは わかるけど
まあ 便所ぐらい…。
≪(足音)
≪(戸の開閉音)
手ぇ貸してください!
おい どうした?
ど… 泥棒です!
す… すぐ来てください!
~
おい!やめろ お前ら こら!
逃げろ!逃げろ 逃げろ!うっ…。
≪おい!
≫おい!
待て!おい!
おら 待たんかい!
しつこいんじゃ ぼけ!
外 悪いことしとんちゃうんかい!
外 待て!
おい お前 録ったぞ!
お前ら!顔 録ったぞ!
~
ぜ… 絶対 逃げられへん。
(アユミ)外はははっ ははははっ!D。外
外ははははっ…。外
~
外 日本は地震の多い国だと…。
(ハル)えっ?
外 頭では わかっていても…。
(ハル)これ 映画か何か?
聞いてはいたけど
こんなことに…。
(あだばな)
阪神以上の負けっぷりやな。
災害の中におると
全体なんて見えへんもんやな。
(有香)見てない 見てない
知らない不幸は不幸やない。
≪ガタガタ…
(ハル)ううぅ…。
ううっ…。
外 しっかり
やっていかなければいけない
という方向性を
示してほしいですね。
外 えぇ~ 六甲道の辺りです。
外 えぇ~ もう
ビルが完全に燃えております。
(瞳)ここからすると
うそみたいやけど
大阪はバレンタインデー一色。
おもろいねんで。
うちのホテルでも
女子に派閥が出来た。
(里津)派閥?
(瞳)うん。
こんなときに
チョコレートやなんて
不謹慎ちゃうか派閥。
モロゾフもゴンチャロフも
神戸の会社やから
買うのは支援や派閥。
(里津)はははっ。
瞳さんは どうするん?
彼氏 佐伯さんっていうたっけ。
(瞳)ねえさん どう思う?
幼なじみなんやけど
つきあいだしたんは
地震の夜からで
初回から甘やかすんは
いかがなもんかと。
負けた気がするなと。
地震の夜って 何 それ。
外佐伯?外
(瞳)六甲道から大阪まで
私を心配して会いにきてくれた。
1日がかりで。
大阪も神戸みたいやろって
思い込んで
私の好きなかりんとう抱えて。
外あんたが好きや。外
~
地震って壊すだけじゃないんやね。
そやね。
アキオは まぬけです。
アキオ?
私の父。
根気がなくてな
100回ぐらい仕事変えてる。
えっ?
妻は7回。
7回?
小さいとき
テレビ見ながら宿題してたら
アキオが言うねん。
お前
手羽先で勉強するもんちゃうよ
いや それ 小手先。
ははっ。
手羽先で勉強って
うち 鶏違うもん。
えっ ははっ。
こないだもな
後輩に説教してんねん。
お前には関係ないんやから
余計なことに指を突っ込むな!
首突っ込むなでしょ。
指突っ込んで どうするんか。
~
チョコ
あげたら? 佐伯さんに。
そばにいてくれるのって
それだけで奇跡なんですよ。
~
(発光)あの震災から2週と少し
泣いた日もあった
叫んだことも。
復興するなら街より気持ち。
まずは心にお日様を。
感謝感激雨あられ。
~(ギター)
~
まっかに燃えた 太陽だから
真夏の海は 恋の季節なの
渚をはしる ふたりの髪に
せつなくなびく 甘い潮風よ
~
(但馬)ボランティアさんに
手伝うてもうて
こんなこと言うのもなんやけど
これ 片づける意味あんのかね?
(猪木)
こつこつやるしかないっしょ。
(但馬)
還暦過ぎて振り出しに戻る。
(但馬)酷にも程がある。
いっそ売っ払って
ちっ 隠居したろうか。
くそ くそ。
但馬さん。
頑張りましょうよ。
神様は乗り越えられない試練は
与えません。
この店の借金
返し終わったの 去年や。
ははははっ。
ううっ…。
ひりひりしながら
銭勘定した頃もあった。
やっと終わった ようやく済んだ
これで
楽になったと思ったやさきには…。
ううっ…。
(猪木)明けない夜はありません。
やまない雨はないんです。
やまない雨はないんか こら。
終わらない暴力はない
そない思たら痛ないんか?
痛ないんか? 痛ないんか?
お前は何様や 偉そうに。
バン!
(但馬)おい お前 こら!
ちょちょ… ちょっと。
ちょっと そのへんにしましょう。
お前…。
そのへんにしときましょうよ。
(猪木)
東京から来てやってんだよ!
感謝もしないやつ 誰が助ける!
ひとの気持ち考えろよ ばか!
おい!
お前が考えろ!
けが ないですか?
あぁ…。
よそもんに わかるか!
こ… こんな店辞めたらぁ。
見てみぃ 誰もおらん。
駅がなくなったら
このありさまや。
人がおらん場所で店やるあほが
どこにおる!
ははははっ あぁ~。
(但馬)ううっ…。
~
≫(戸の開閉音)
所長。
町田さん。
JRの検証が終わりました。
ほんで ジャッキアップでいくことが
決まりました。
~
(町田)ジャッキは16台。
バランスを計算して設置し
持ち上げます。
ワンストロークごとに
支えをかます。
水平まで持ってきたら
横送り用のテフロンジャッキで
滑らせて位置修正
それを更に持ち上げて
定着 固定します。
ありか? こんなん。
ありにするしかない。
高架は1つ1,280トン
俺ら その下で作業するんですよ。
~
言いにくいんですけど
もう1つ お伝えせなあかんことが
あるんです。
あぁ?
困ってる利用者の要望に
何とか お応えしたいんですわ。
お疲れさまです。
お疲れさま。
鶴。
おう。
ジャッキアップが決まった。
そうか。
後は…。
7月の開通予定を
GW明けに早めろって。
進行が早いようだからって。
はぁ…。
早いんじゃない
早くしてるんだ。
みんなを
来週から交代で
休ませようと思ってたんだが。
うっ…。
~
(鶴)どうや?
こういう仕事って考古学やな。
過去の仕事を暴く
手ぇ抜いたんも丹精込めたんも
容赦なくさらす。
鉄筋の並び
みっちり詰まったコンクリ。
悔しいぐらい丁寧や。
江戸川さんは
うっとうしかった。
僕も お前も何べんか殴られた。
ふふっ。
江戸川さんが定年退職した夜
これで清々するいうて祝杯挙げた。
こういう力は見えてなかった。
~
ジャッキアップは正直不安や。
せやけど
ここまで来たら信用するしかない。
江戸川さんと…。
~
いつか僕らの仕事 掘り起こして
妬む後輩が おったらええな。
ほんで そいつらに言うたんねん。
悔しいやろ いうて。
ははっ ざまぁ見ろ 言うたんねん。
~
~
~
~
≪(足音)
~
あっ いえ 吸わないんです。
あぁ… 作業員には
たしなむ人が多い。
新しい顔と話す
きっかけになります。
JRの玄能です。
磐巻組の高倉です。
ここが。
(玄能)あぁ~。
後は ここ。
(玄能)なるほど。
こっちも。
そうか。
失礼しました。
お願いします。
≪はい。
あぁ…。
動きが ばらばらです。
これじゃ
バランスが崩れて橋が傾く。
中の人間が潰れます。
どれも同じ速度の
ジャッキじゃないと。
震災で出払ってるんですわ 全部。
探してみます。
~
神頼みだ。
神頼みだよ これは。
~
~
倉さん。
≪キィー
國代 やめろ!やめろ!
伏せろ!伏せろ!
バランスが ずれたんだ。
橋が傾いてる!
≪キィー
≪ガタガタ…
退避!全員退避!
おい 自分
何しとんねん はよ逃げ!
奥 いないか? いないか?
(花祭)あっ…。
やめてくれや もう。
ごめんなさい。
もう これ いいから!
ほんと ごめんなさい!
動くな。
あぁ~!
あっ あっ…。
戻れ 戻れ。
うっ うっ…。
遥
土日照
木絵…。
≪ガタガタ…
ごほっ ごほっ。
高倉さん!
大丈夫だ。
大丈夫か?
はい。
大丈夫か?
あっ…。
國代 大丈夫か?
今 死んでたら
楽になってた。
~
うち
もう住めん状況やのに
半壊やって認定されそうなんです。
ふっ 笑けるでしょ。
半壊やったら
ろくな金が出ぇへん。
残されたんは25年の借金だけ。
ちっ…。
今 死んでたら
保険で ちゃらになった。
國代。
お前 数日休め。
ははっ
何で わかってくれへんねん。
ちょっとでも休んだら
先のこと考えて頭が変になる!
何で わからへんねん!
(花祭)お前のためやない!
奥さんや子供は
お前以上におびえてる!
仕事を逃げ場にすんな。
~
~
~
悪かったな。
食べてる? ちゃんと。
ああ 大丈夫だよ うん。
~
頑張ってください。
ありがとうな。
じゃあ。
~
お疲れさまでした。
くんくん!
くんくん くんくん!
おう ご苦労さん。
差し入れです。
ん?
差し入れなんですって。
こっち。
あっ あの 差し入れです。
前から考えてたんやけど。
(花祭)何で こんな暗がりで?
放火やと思ったわ。
(但馬)いや 警備の人がおるし
みんな 忙しそうやから
邪魔かな思て。
(花祭)邪魔なわけないですよ。
ここじゃなんですから あの
是非 中で焼いてください。
あぁ~ あんた ここの人か。
いや こないだ…。
あぁ~ いやいや もう。
現場の者 みんな 喜びますから。
なっ。
(花祭)はははっ。
(但馬)
はいはい はいはい お疲れさん。
(花祭)温かいの食うたん
100年ぶりや こんなん えっ?
いただきます ありがとう。
あっ 大将 もう1本。
(但馬)はい。
あぁ… すんません。
ありがとうございます。
國代。
ほら ほら。
食え。
しっかり食え。
いただきます。
う~ん 大将。
死ぬほど うまい!
これは うまい。
(但馬)ははははっ。
ははっ。
うまい。
~
(鶴)大将 大将 高倉さん。
良かったら これ 飲んでください。
≫おぉ~。
みんなも あるで。
来い来い 来い。
どんどん 取りにこい。
ほらほら 早いもん勝ちよ。
おい 今日 飲むぞ。
どんどん回せ。 回せ回せ。
~
≫大将 ほんまにおいしいで。
~
店 続けます。
店 続けます。
迷てたんや。
でも 迷うことなかった。
あんたらの今のその顔
それが答えやった。
おおきに。
ほんまに おおきに。
~
ううっ…。
それから駅の工事
わしら感謝してます。 はははっ。
感謝なんか いりません。
東海道線の復旧 六甲道の復興
でも 本当はそこじゃない。
~
こんな工法 初めてです。
わくわくするんですよ 技術屋は。
~
それやったら うれしいな。
ひとのためやったら手を抜ける。
己ばかりは裏切られへん。
自身にひたすら真面目たれ
これな
焼き鳥の師匠から教わってん。
≪おぉ~。
(但馬)いまだに訳がわからんわ。
ははははっ。
≫何や それ。
≫あほらしいわ ほんま。
≪何や それ。
≪ははははっ。
あっ 雪や。
(御手洗)なかなか おつですね。
~
おう ここや。
ここがな
但馬さんが再建した店や。
おっちゃん どうやの?
(ハル)86やからな~。
もう あちこちな。
まあ なあ。
(ハル)そやけど 久しぶりやな 豊。
そやな~。
(ハル)もしかして お子さん?
そう 俺の息子。
(ハル)えぇ~!
はははっ ちゃうけどな。
(ハル)どないやねんな。
ははははっ。
いや せやけど 何や似てんねん。
顔形ちゃうけどな。
(ハル)ふ~ん。
はぁ…。
あっ。
ん?
(ハル)
震災のあとのな 駅の工事。
私 前から聞きたかってんけど
これ 何であんた写ってないん?
毎日 おったよな。
~
覚えてへんな~。
これ いつ撮ったんやろ。
~
被災地っちゅうのはな
嘆きと悲しみでいっぱいやねん。
それは事実や。 せやけどな
一時 ここは
不思議な街になったんや。
不思議な街?
雪の夜の焼き鳥の次は
でっかい横断幕やった。
倉さん あれ 見てください。
あれは… 脅迫か?
(花祭)ははっ 確かに いつもは
騒音への抗議とか暴力団とか
そんなんばっかりです。
でも あれは
俺たちへの応援です。
応援ですよ!
~
すごい遠回しな脅しかと思った。
(花祭)ははっ。 ははっ ははっ。
~
~
(一同)ありがとう!
~
(発光)私と安さんは
どさ回りのついでに被災地で
一稼ぎするつもりでした。
適当な応援歌を歌っとけば
小遣いになる。
まあ そういう感じで。
私 関西苦手なんです。
≪はははっ。
≫はははっ。
(発光)でも 変なんです。
この街だけは 好きになった。
私は
曙っていう宿に泊まってます。
順番にお並びください。
(ふみ子)はぁ はぁ…。
(発光)ふみ子さんは
毎日 毎日往復して
お風呂に水を張ってくれます。
そこまでしなくても。
そう言ったら
ふみ子さん 言いました。
こんなときなのに
他に私は何もできないって。
(発光)ガスが止まってるから
熱帯魚の水槽を温めるヒーターで
半日かけて沸かします。
冷えた体が しんから温まる。
あだばなさんは腎臓が悪くて
週に4回 透析を受けるために
大阪の病院に通ってたそうです。
電車が動かなければ
それは難しい。
大阪の親戚の家に
避難することになりました。
最後の夜に あだばなさんは
六甲道の思い出を
話してくれました。
だんじり 地蔵盆。
ここを離れたくない。
あだばなさんは泣きました。
傷ついた故郷を
置き去りにするのは
後ろめたいって。
みんなを知るうちに
ここは飛び切りになりました。
カセットや営業はどうでもいい。
ここへの祈りを歌いたくなった。
何か 急にこしらえた
テント村みたいな歌だけど…。
聴いてください。
安さん。
~(ギター)
(発光)
橋を架けましょ この町に
橋を架けましょ あの町へ
ひょいと右向きゃ 海の風
ひだり仰げば 六甲山
上を向いたら レインボー
虹に負けない
(遥)パパ?
今日は
休みをもらった。
顔 見たかった。
(安) トンカトン トンカトン
トンカトン
(遥)ははははっ。
(土日照)じゃんけん ほい!
ふふっ。
地震が起きてから初めて。
あの子らが心から笑った。 ふふっ。
(木絵)はははっ。
(土日照)ははっ。
(発光) 橋を架けましょ
(但馬)はいはい はい。
(ハル)はい。
はい お願いしま~す。
(発光) 地震じゃ壊せぬ
(佐伯)ははっ。
(発光) 胸の内
ありがとう。
(発光・安) うれしはずかし 恋心
鉄の線路を つないだら
あなたと私 つなぎましょ
鉄の線路を つないだら
あなたと私 つなぎましょ
(安) トンカトン トンカトン
トンカトン トンカトン
トンカトン
停電は不便やけど
代わりに
まぶしいぐらいの星が広がった。
人の心っちゅうのも
不幸のどん底で
ようやく輝くもんかもしれんなぁ。
みんなが立場を忘れて…。
ほんまの自分に戻れる
優しい場所や。
まあ 短かったけど ここにはな
確かに
そういう時間があったんや。
楽園は地獄にしかないんやろか。
なぁ。
ははっ。
~
(ふみ子)
蛇口をひねれば水が出る。
当たり前のことで
こんな気持ちになるやなんてな。
(有香)ほんまや!
あぁ~ 当たり前のことやのに!
変やな。
(有香)ははははっ!
よし いいかな?
圧力75トン。
≪はい。
3 2 1…。
外 スタート。
圧力80トン。
≪はい。
≪ひずみが出てます!
鶴 計算合ってるな?
圧力90トン。
≪はい。
(花祭)倉さん。
(花祭)倉さん。
(花祭)あっ…。
上がってる 上がってますよ。
あぁ… 上がってます。
よし。
外 やった~。
外 鶴 よくやった。
外(花祭)はははっ
やったで。
外 あぁ~。
やったな 高倉さん。
<5cm上げては安全を確認する。>
<躯体が壊れへんことに懸けて
朝も夜も繰り返した。>
<5cm そして5cm。>
< また5cm。>
<日付や時間の感覚が
なくなった。>
<上がった高架の位置と角度を
確認する。>
<今度は
手動のテフロンジャッキで
横に動かして場所を正していく。>
< そして…。>
<5つの橋 全長260mが
元どおりの高さ
10mに架かった。>
< これで やっと線路を敷き
ホームを造る作業を始められる。>
~
~
≫(戸の開閉音)
おっ。
あっ 高倉さん。
ファクス 来てました。
うん。
いつもの連絡やと思って
見てたんですけど
早めるんですか?
7月をGWに早めて
それを更に1カ月。
紙っぴら1枚で こうか!
もう みんな 限界だ!
俺も限界だ!
寝て休んで 家族とくつろいで
だから 働ける!
じゃなきゃ働けない!
~
~
皆さん おはようございます。
(作業員たち)おはようございます。
お知らせがあります。
4月1日の開通が決定しました。
(ざわめき)
何や それ。
(花祭)初期案では開通は夏やった。
待っている人たちがいる
1日も早く
普通を取り戻したい人たちがいる。
私たちにできることは
何でしょうか。
俺たちにできることは何だ!
無理は承知しています。
どうか よろしくお願いします!
(花祭)はい!
昨夜の打ち合わせどおり
各社 各班に分かれてください。
動くで!
(作業員たち)はい!
御手洗 足場点検せぇ。
(御手洗)はい!
~
頼むな にいさん。
頼りにしてるで。
(九頭竜)うっす。
よっしゃ ちゃっちゃやろか!
(作業員たち)うっす!
~
~
<不眠不休の日々が更に続いた。>
<記憶にあんのは
3月6日だけや。>
<1月17日から数えて
四十九日になるその日
街のあちこちで
線香のにおいがした。>
<風が春めき始めた頃
運輸省の検査の日を迎えた。>
~
≪ピー!
≪列車接近。
ちょ… 待てや
ふだん あんなん走ってへんやろ。
(御手洗)
うわ 来た来た 来た… 来た!
おぉ~。
<2カ月半ぶりに
東海道線が走った。>
~
外(花祭)よし!
外(花祭)おい!はははっ。
外(御手洗)あれ?
外(花祭)あれ
倉さん 泣いてんちゃいます?
外 泣いてない 泣いてない。
外(花祭)えぇ~?
外(花祭)ははははっ。
外 やめろ。
<検査が終了した。>
<計測した高架のひずみは
基準値の10分の1やった。>
<2年はかかる思われた工事を
半年どころか
74日間で達成した。>
<ドン・キホーテが
風車を倒した瞬間やった。>
まあ こんなもんや。
1足す1はさやかに2。
あんまり計算どおりで
つまらんな 僕は。
(花祭)ははっ
何を強がってますん 鶴さん。
行きましょう はい。
強がってへんわ。
~
~
(里津)持とか?
(瞳)あっ ありがとう。
歩くとコートいらんよね。
(里津)うん。
(瞳)あぁ~ ごめん。
春やね。
(里津)うん。
(里津)駅が違うから
瞳さんとおしゃべりするのも
今日が最後ですね。
(瞳)いつでも会える。 近くやん。
私は毎朝 楽しかった。
(瞳)
もう~ やめよ そういう感じ。
なあ りっちゃん。
アキオのとぼけた話 もっと。
後 今度会わせて アキオに。
(里津)アキオはな 3年前
自費出版で自伝を書いてん。
題名は… 「おかげさま」。
「おかげさま」やで?
はははっ 何? それ。
何 書いてあんの?
えっと アキオの…。
(花祭)工事期間中
正直 トラックや騒音
ご迷惑かけました。
明日から開通しますが
我々 残念ながら まだいます。
≪ははははっ。
(花祭)
あぁ… 駅ん中を造らんとね。
みどりの窓口とか改札とか
まだ しばらく
もうちょっとだけ もうちょっとだけ
ご辛抱ください。
では ひとまず
開通を祝しまして乾杯!
(一同)乾杯!
(花祭)あぁ~!皆さん
食べてください 食べてください。
(発光)うまい。
(有香)あんたら
住民でも工事の人でもないやろ!
(発光)私は 人生が
被災してるんです。 ふふふっ。
持ってってくださいね。
たれもあります。
はい どうぞ。
はい。
はい どうぞ。
運輸省に出す書類ですか?
うん。
役所いうんは四角四面やから。
記録係も今日でおしまい。
お疲れさまでした。 ほら 食え。
話したいことがあるんだろ。
話なら 何でも聞くぞ。
隠してるのか言いたくないのか。
何か つっかえてるんだろ?
~
まあ
俺の勘違いだったらすまない。
お疲れさまでした。
~
(アユミ)外ははははっ ははははっ。外
外 ねねネコがねナニヌネノ外
外 シッポをたてたら
いいてんき外
慰霊碑への落書きなんか
かわいいもんや。
汚れを落としたら罪は消える。
~
地震があった1月17日の夜
俺は仲間たちと街を探検しとった。
ほんでな お前ぐらいの頃
連れ込み宿の息子や言うて
からかわれて
ちんけなことで学校クビなった。
せやから
そんなご立派 ご大層な世間が
ひっくり返ったみたいで
おもろてしゃあなかった。
全壊した家から
ものを盗んではしゃぎ回ったった。
ビデオカメラとか いろいろな。
べつに 欲しいわけ違たけど
まあ ついつい おもろてな。
うん。
工事を記録したビデオカメラって。
うん。
帰れ 返したで。
帰れや。
始発は まだや。
あぁ…。
俺は
そのビデオカメラで録ったんや。
俺は録った。
みんなが力を尽くす姿
支え合う姿
がちで ぶつかり合う姿。
泣いたり笑たり。
何や もう 録んのが苦しなってな。
みんな すごいな すごいな
思う度に
自分が嫌になった。
せやから
集合写真には入らへんだ。
便所で隠れとった。 はははっ。
俺とあの人たちは ちゃう。
仲間面する資格はないってな。
電車が走ったら交番へ行く。
ほいで全部 話したる。
そう決めたんや。
それから ようやく
ぐっすり眠れるようなった。
で 朝が来た。
朝が来たんや。
外(構内アナウンス)
危ないですから黄色い線の…。
カシャ!カシャ!(シャッター音)
(拍手)
運転再開 おめでとうございます。
どうも ありがとうございます。
何とか 間に合わせました。
はい ありがとうございます。
(拍手)
≪駅全体をご案内いたします。
どうぞ。
(拍手)
~
外俺たちにできることは何だ!外
(花祭)
外上がってる 上がってますよ。外
外鶴 よくやった。外
外退避!全員退避!奥 いないか?外
(御手洗)
外うわ MhたMhた Mhた!D Mhた!*外
(花祭)外あれ
ARさん 5cいてんちゃいます!)外
外泣いてない 泣いてない。外
(花祭)外えぇ!A!)外
外お疲れさまでした。外
ううっ…。
ううっ…。
ううっ…。
~
~
やったな。
やったな~。
~
(心の声)外りっちゃん。外
(里津)「瞳さんに初めて会った
1月18日の朝
私は 会社ではなく
大阪に葬儀屋さんを
探しにいくところでした。
私の町の葬祭場や火葬場は
満杯やったから。
アキオは地震で亡くなりました。
父娘ふたりの生活でした。
寂しさを1人で抱えました。
毎朝 瞳さんと歩き
アキオのことをしゃべり
笑うことが
どれだけ大きな慰めやったか。
あなたは私の恩人です…。
ありがとう。
いつまでも
後ろを向いてはいられません。
痛みを手厚く抱きながら
きっと前に進みます。
電車のように…。 里津」。
いってきます!
~
~
~
(鶴)外高倉。外
外おっ!)外
~
外横断幕
ありがとうございました。外
外2回も。外
外作業員たちの励みになりました。外
外あんたらは これで終了。外
外残業代もたっぷり出る。外
外お疲れさん。 さあ 飲もう。外
外僕らの工事は今日から始まる。外
ただいま。
はぁ…。
お疲れさまでした。
うん ただいま。
おぉ~ ただいま。
おかえり。
何だ?
電話ぐらいくれても。
うん。
あの子 受かったんですよ 高校。
来週 入学式。
はぁ~。
いや…。
あぁ~。
いや まあ こっちもこっちで
あれやこれやで…。
うん そうだよな。
もも おめでとう。
もう はい。
もも 良かったな。
≪もも 頑張ってたもんな。
≪あっ そうだ。 もも。
ごめんなさい。
ふふふっ。
もも~
パパ ごめんなさいやって。
東海道線の復旧で
つかの間の優しい時間は
おしまいになった。
<現実との戦いが始まった。>
<誰も彼も 俺も。>
≪どうしました?
どうかしましたか?
何でもありません。
俺は そう答えた。
言えんかった。
勇気が出ぇへんかった。
俺は そういうやつや。
今日の今日まで
こんな話 したんお前だけや。
その盗んだビデオには
5分ぐらいやろか。
持ち主が録った映像が残っとった。
映像?
あんなぶっ潰れた家で
誰が生き残っとったんやろ。
アユミっていう子の
最後の姿やったかもしれへんし…。
録った親に何かあったら
あれは アユミの生涯の宝もんや。
俺が盗んだんは
家族の思い出やったんや。
~
カメラは
返しにいったんやけどな
もう一面 焼け野原や。
どこが どこのうちかなんて
わからへん。
~
23年たった今でもな
街でちっちゃい子を見かけたら
顔を確かめんねん。
~
アユミは もう大人やのに。
それでもな…。
ううっ… まあ まあ それでもや。
~
ううっ…。
酒を飲んだ帰りに。
飲んだ帰りに
お前らが悪さしてんのを見て
はしゃいだ気分になった。
外うわ
めっちゃかわいいやん これ。外
ようやく救われた思たから
お前を警察から救ったんや。
あの時代は もう過去や。
嫌なことは忘れてええ。
十分すぎる時間がたった。
地震は終わったんや。
引っ張り回して悪かったな。
ようやく わかったわ。
ははははっ。
俺はな 誰かに
もうええやん そんな~ん
そう言うてほしかったんや。
ははははっ。
誰かに許してほしかったんや。
アユミは ここにおる。
この神戸のどこにでも。
いつでも いつまでも。
ず~っとおるんや。
~
~
(佐渡島)はぁ?
ちょっと ちょっと
あなたたち。
お勘定 まだ。
えっ?
あぁ…。
16歳に たかるか? おっさん。
ははっ。
ははっ。
はははっ。
ははははっ…。
~
~
~
(佐渡島)あの すんません。
どうしました?
(佐渡島)いや…。
どうかしましたか?
「BRIDGE(ブリッジ) はじまりは1995.1.17神戸」ネタバレ感想やあらすじまとめ
ヴィクトル・ユゴーの小説「レ・ミゼラブル」はミュージカル、映画、ドラマ、アニメなどで世界中に愛される名作中の名作。運命に翻弄されながらも困難に立ち向かうジャン・バルジャンをはじめとする登場人物の生きざまは、読む人を惹きつけてやみません。
その現代版リメイクとなれば、楽しめること間違いないでしょう。
W主演のディーン・フジオカさんと井浦新さんをはじめとする豪華出演陣の演技も見ものです。
そんな、『BRIDGE(ブリッジ) はじまりは1995.1.17神戸』のネタバレと感想やあらすじを掲載していますので、ぜひご覧くださいね。