2018年12月14日、天藤 真さんの小説『大誘拐』が、岡田将生さん主演で舞台を新たに東海地方に移し、スペシャルドラマ化されます！
こちらの記事では『大誘拐』の原作である小説と1991年に公開された映画のネタバレや感想とあらすじを紹介していきます！
『大誘拐』の原作について
原作(小説)『大誘拐』のあらすじ
紀州随一の大富豪、柳川家の女主人「とし子」刀自８２歳が誘拐された。身代金は１００億円。地元民に圧倒的な人気を誇る刀自の誘拐は大騒動に！
原作『大誘拐』の感想
原作(小説)『大誘拐』のネタバレ
「刑務所を出た前科モンが社会復帰するためには、元手が必要や」そう言い資金稼ぎの作戦を企てるのは、戸並健次。先に出所していた戸並は刑務所仲間の秋葉と三宅を車で向かいに来て説明した。その計画が誘拐だと知った2人は賛同せず。だが戸並が誘拐相手は、紀州一の大金持ち・柳川とし子刀自(刀自は年輩の婦人を敬愛する語)だと知る。急に2人はやる気を出し、身代金5000万円も夢じゃないと意気込む。その後3人は誘拐の機会を見つけるために、とし子の屋敷の向かいにある山に張り込んでいた。
強い雨風に打たれる日が続き、1カ月以上張り込みが続いた。悪天候が続いたことと張り込み始めた時期でお盆だったことが重なり、3人の子供を戦争で亡くしたとし子は悲しみに明け暮れ外出を控えていた。
ある日とし子は所有している山林を全て歩き回ろうと思い立つ。花嫁修業兼行儀見習いでとし子の元にいる吉村紀美も同行した。とし子が外出する姿を目撃した戸並たちは車で後を追う。しかし見失ってしまい、何日も追跡が続く。数日後ついにとし子と紀美を見つけ、誘拐し身代金が目当てだと告げる戸並たち。とし子は関係のない紀美の解放を要求し、そうすることで人質にかかる手間が減るメリットを説明する。簡単に説得された3人は紀美を解放した。
戸並たちは無事に誘拐に成功し、とし子を車に乗せる。途端にとし子がアジトの場所を和歌山市内ではないかと言い当てた。また市内である場合、警察に短時間で見つかってしまうと続けた。とし子の抜群な説得力で困り果て、挙句にとし子に隠れ家を提供してほしいと頼む。とし子は心当たりがあると言い、車を指示する場所に走らせた。
そこは和歌山からも遠く、集落からも離れた場所に建つ一軒家。住人はとし子の元で以前まで長らく女中頭として勤めていた中村くら。とし子に絶対の信頼をおいているため、しばらくの間住ませてくれることにあっさりと了承した。後日話し合いの末、とし子の直筆手紙にて家族と連絡を取る作戦に。それなら一目で誘拐犯からの連絡と知らせるためだ。身代金はいくらのつもりなのかをとし子が尋ねる。戸並は5000万円だと大見得を切る。だがとし子は見損なってもらっては困ると、100億円を要求するように言い放つ。 3人は困惑し、すでに誘拐の主導権をとし子に握られていた。とし子は3人に「虹の童子」という暗号名を付けた。
一方、数日たった柳川家に身代金100億を要求する手紙が届く。すぐさま警察の耳に入り、対策本部が立ち上げられた。虹の童子は身代金に対する回答する代表として、和歌山県警本部長・井狩を指名。さらに和歌山放送テレビの生放送で返答をするように指示されていた。だが柳川家が身代金の資金繰りに苦労していることを知った井狩は、要求額が法外なため考え直すようにと。さらに無謀な要求をするからには、とし子の姿を生放送で見せるようにテレビで訴えかけた。井狩がテレビに出演したことで、「柳川刀自愉快事件」は「100億円事件」と名称を変え、日本はおろか欧米も巻き込んだ騒ぎとなった。
井狩の訴えを知ったとし子はさらに手紙を書き、警察と柳川家に返答する。内容はとし子の姿を和歌山放送テレビで生中継するとのこと。また日にちや行き先を指定し、放送開始・進路の報告は無線で童子たちとやり取りを行うようにと、細かい指示がされていた。
生放送当日とし子が姿を現し、家族に資金調達の方法を伝える。中継後、井狩と直接会い話すとし子。後は虹の童子と柳川家で交渉すると言い、とし子は迷惑をかけたと頭を下げた。柳川家はとし子の指示通りに100億を用意することができた。
後日、童子から身代金の受け渡し方法が伝えられる。指名されたパイロット・高野が、ヘリで指示通りのコースを飛ぶ。だがヘリは空の彼方へ消え、その後発見されたが右往左往していた。実はこの動きをしている下の地点は、中村の家があった。警察はただ迷走していると考え、不審には思わなかった。柳川家の上空をヘリが通過するが、降ってきたのは「100億円の領収書」と後日とし子を帰らせることが記されていた。その4日後、とし子は無事柳川家に戻った。
事件解決から1か月後、井狩はとし子を訪ねて来ていた。実はとし子が事件の指揮を取っていたのではと聞く井狩。認めたとし子は、国に一泡ふかしてやろうと思ったと話す。税金対策として行った計画だった。井狩は誘拐犯3人組の行方を問う。秋葉は中村の元で養子に、三宅は当初予定されていた1000万円を受け取り病気の母親の元に。そして戸並はとし子の元に残り、柳川家で住み込みの雑用係となった。井狩はこの秘密を胸におさめることにした。
戸並は最初の仕事として、とし子の指示で庭の阿弥陀堂を修復した。空洞になっている土台の内部に、99億9000万円を隠した。
映画『大誘拐 RAINBOW KIDS』について
1991年に、北林谷栄さん主演で映画化されました。
映画『大誘拐 RAINBOW KIDS』のあらすじ
ある夏の日。大富豪の老女が3人の若者グループによって誘拐される。誘拐の報に、老女を生涯最大の恩人と慕う凄腕の警部が捜査に乗り出す。一方、誘拐犯が要求しようとしていた身代金が5千万と知った老女は激昂、百億にしろと言い放ち、3人を従え、自ら身代金強奪の指揮をとり始める……。
映画『大誘拐 RAINBOW KIDS』の感想
映画『大誘拐 RAINBOW KIDS』のネタバレ
軽犯罪を行い戸並健次は服役を何度も繰り返す。そのうちに割に合わないと感じた戸並は、新生活を始めようと考える。しかし前科持ちであるためそれなりにお金がいると思い、刑務所内で知り合った秋葉と三宅を誘う。それは和歌山に住む金持ちの老女・柳川とし子を誘拐するというものだった。初めは尻込みしていたが誘拐相手が刀自と知り、戸並の話に乗った秋葉と三宅。3人は出所して入念な計画を立て、とし子の行動パターンを知るために屋敷がある和歌山県竜神村を見張ることに。だが雨の天候が続いたこともあり外出を控えていたとし子。そのため屋敷に変化はなく、監視を始めてから3週間が経過していた。ある晴れた日に山歩きをしていたとし子を、とうとう誘拐することに成功する。
ルンルン気分の戸並たち。だがとし子の言葉で事態は一変することに。とし子は戸並たちが計画していたアジトの場所や、誘拐に使用している車種を言い当てた。実はとし子の運転手・安西が、何度も不審な車を目撃していたのだ。困惑した戸並たちを尻目に、ここから誘拐の指揮はとし子が取ることに。また以前とし子の元に勤めていた女中頭・中村くらの元へ戸並たちを連れて行った。中村の家は周囲と孤立した場所にある一軒家で、テレビも見られないようなところだ。少し間、家に滞在させてほしいと頼むとし子。中村はとし子を信頼しているので、歓迎してくれた。戸並たちは本名を明かさず、とし子が名付けた「雷太郎、風太郎、雨太郎」として過ごす。後日とし子は3人のメンバー名を“虹の童子”と決め、戸並たちが予定していた身代金が5000万だと知って怒り出す。とし子は身代金100億円にするよう命令し、戸並たちは困惑してしまう。見かねたとし子が脅迫文を作成することに。
一方の警察側では、安西からとし子が誘拐されたと通報が入る。そこでとし子を慕っている本部長・井狩大五郎が、事件の指揮を取ることになる。屋敷がある村を中心に捜査し、誘拐対策本部を置くことに。そんな中、虹の童子から脅迫文が届いた。身代金の100億の要求に井狩は驚愕する。翌日テレビ放送にて、とし子の安全をテレビ和歌山かラジオ和歌山の生放送にて証明するよう訴えかける。それを見ていたとし子は再度文章にて、生中継でとし子の姿を見せると警察と柳川家に伝える。また100億年を捻出する方法を家族に指示した。柳川家の4人の子供はとし子の言う通り、100億円を用意する。
たちまち誘拐事件は前代未聞だと、日本を越え世界中が注目するほどに。ついに身代金の受け渡し日となり、全世界がテレビで行く末を見届ける。そこに女装した戸並が現れるのだが、ちょうど出発する放送車に夢中で気付かない。戸並は社長室にとし子の直筆手紙を差し出した。驚く社長たちは、手紙の内容で犯人が毒薬を口内仕込んでいると記されているため、手出しができない。生放送の時間となり、予定されていた放送車からの映像ではなく社長たちが乗る車内の様子だった。とし子からの手紙を読み上げる姿を確認し、井狩はまんまと裏をかかれたと怒ります。身代金100億はヘリで運ばせていたが、爆発したトラックの霧で迷走するヘリ。すると柳川家の上空から「100億円をいただいた」という領収書が降って来た。実はパイロットたちもとし子の指示で動いていたのだ。その数日後、まるで犯人に釈放されたようにとし子は柳川家に戻ってきた。
とし子が無事だったため、事件は一件落着。しかし井狩は、事件の指揮はとし子が取っていたのではないかと感づく。1か月後、とし子にその疑問をぶつけた井狩。とし子は認め、子供たちだけでなく国が柳川の土地を奪おうとしていることに、復讐の意味を込めて100億円を騙し取ることにしたのだ。つまりはとし子の税金対策による計画だった。
事件後、秋葉は中村の養子として迎えられ、三宅は病気の母親のために、最初予定されていた分け前の1000万円を受け取って立ち去った。そして戸並はとし子の元に残り、大工として働き始めた。それらの事実を知った井狩は、この誘拐事件の秘密を口外せず、胸に留めておくことにした。
『大誘拐』原作(小説)映画ネタバレ感想やあらすじまとめ
名作のドラマ化で注目を集めた『大誘拐』。もしかしたら自分もそうなる可能性のある犯罪加害者家族。そうなった時、何を感じ、どう生きるのか、難しい境遇に立たされた自分をつい想像してしまう人も少なくないのではないでしょうか。
小説と映画では少々設定は違いましたが、小説で描かれた細かな心情を山田孝之さんが熱演しました！
そんな、『大誘拐』の原作小説、映画のあらすじやネタバレを掲載していますので、ぜひご覧くださいね。
