2019年5月22日水曜21時から5夜連続でテレビ朝日系列にてスペシャルドラマ『白い巨塔/2019』が放送されます。
新時代の財前五郎を演じるのは岡田准一さんです。
ドラマ『白い巨塔(2019)』では原作の、原作で描かれた昭和30年代の物語の設定を2019年に置きかえ、現代の最新医療ならではの、今までにない新たな『白い巨塔』の世界を構成します。
こちらの記事ではドラマ『白い巨塔(2019)』第4夜のネタバレや感想とあらすじを紹介していきます!
ドラマ「白い巨塔(2019)」第4夜あらすじと感想やネタバレ
第4夜あらすじ
ドイツで手術のデモンストレーションを行う財前五郎(岡田准一)が現地の医師たちに絶賛されている頃、日本では、ICUでの治療の甲斐なく佐々木庸平(柳葉敏郎)が死亡していた。死因が肝不全だと知り、膵臓がんだと思っていた妻のよし江(岸本加世子)と息子の庸一(向井康二)はがく然…。里見脩二(松山ケンイチ)は、そんな二人に病理解剖を勧める。
財前のミスを疑い、真実を知りたいと強く願う庸一の後押しで、後ろ向きだったよし江も解剖を了承。病理学科の教授・大河内恒夫(岸部一徳)が解剖を担当することになる。
解剖の結果、血管内リンパ腫が原因で肝不全となり、血液凝固障害を起こしたため死亡したことが判明。よし江と庸一は、手術の前後ともに、財前は「膵臓以外に問題がない」と言っていたと柳原雅博(満島真之介)に詰め寄る。もともと財前の傲慢な診察態度に疑問をもっていた二人は、彼を裁判で訴えることを決意する。そんな中、財前が帰国。空港で訴訟についてのコメントを求める記者たちに囲まれ、もみくちゃになっている財前を連れ出した義父の又一(小林薫)は、その足で医学部長・鵜飼裕次(松重豊)の自宅へ向かう。教授選で財前を推薦したがために自分の立場が危うくなったと激昂する鵜飼に、財前は、すべては遺族の誤解で、自分に後ろめたいことはないとキッパリ宣言。又一も金に糸目はつけないので、何とか降りかかる火の粉を払ってほしいと土下座する。
翌朝、柳原を呼び出した財前は、恩師の大河内が解剖を担当したと聞き、自分の立場が悪くなると激怒。さらに、柳原にカルテの改ざんまでほのめかす。また、里見のもとを訪れた財前は、遺族に自分を窮地に陥れる病理解剖を勧めた彼にも食ってかかり、同期の二人に溝ができてしまう…。
よし江と庸一は財前を訴える裁判を起こすために、弁護士・関口徹(斎藤工)の事務所を訪れる。一方、病院と財前の代理人となった弁護士・国平幸一郎(山崎育三郎)は関口に破格の金額を提示し、示談にしないかと持ちかける。
真実と自分の将来を天秤にかけ、裁判を前にどんどん追い込まれていく柳原…。
そして、ついに、純粋に真実を知りたいと願う遺族と、保身にすべてをかける財前の長い闘いが始まる…!
第4夜感想
第4夜ネタバレ
彼らのメッセージになっている
という事なんですね。
〈醜い権力闘争を制し
教授の座に就いた
天才外科医財前五郎〉
鵜飼裕次票の差をもって
あなたが教授に選出された。
財前五郎お受け致します。
〈敗れた東は浪速大学病院を
追われる事となった〉
東貞蔵私の力が及ばず
本当に申し訳ない。
〈早速ドイツの医療学会からの
招待を受け
順風満帆の財前は
同期の里見から
担当患者の手術を頼まれ…〉
佐々木庸平何十人もの
社員の口を食べさせなあかんねん。
里見脩二なぜ検査しない?
教授である私の判断だ。
〈容体の急変を危惧する
医師たちの声に
一切耳を貸さない財前〉
花森ケイ子何かあるんじゃない
目には見えない何かが。
佐々木よし江手術は成功した
って言うたやないですか!
〈しかしこの事が
取り返しのつかない事態へと
発展していく事となる〉
財前の予定は?
ドイツ出張です。
財前!
よし江里見先生!
なんでこんな事に…。
英語
医師ベリーナイス。
看護師イエスサー。
英語
医師いつまでやってるんだ!
金井達夫右
センチで固定しました。
亀山君子はい。
ポンプ繋ぎました。
医師でしょうか…。
医師ガンマ
ノルアドガンマ。
君子はい!
金井輸液
もう一本追加お願いします。
君子はい。開始しました。
金井吐血しました!挿管準備!
医師動かします!
医師これは
肝不全による出血じゃないか?
肝不全…。
医師こんな事になるまで
お前何をやってたんだ
佐々木庸一
先生なんであんなに血が…。
里見脩二…。
血が止まらなくなる
血液の凝固障害です。
心電図モニターのアラーム
心マ開始!
医師!アドレナリン!
代わるぞ。
看護師準備します!
看護師イエスサー。
君子準備できました。
医師よし…。
いきます…!
金井駄目。戻らない。
もう一回いくよ。。
君子はい!
いきます。
金井駄目。
看護師アドレナリン入れます!
医師ベリーインプレッシブ
ドクター。
「ザッツオール」
拍手
柳原…もういい。
柳原先生
術後胆管炎ではなく
やはり
肝臓に問題があったんだね…。
柳原のすすり泣き
柳原佐々木庸平さんが
亡くなられた直接の原因は
肝不全と思われます。
佐々木よし江肝不全…?
お父さんは膵臓がんやないの?
死んだ原因が肝不全って
どういう事?
肝臓も悪かったって事?
お母さん
そんな話聞いてた?
週間で帰ってくるから
大丈夫って…
笑ってこの病院に入っていった
お父さんが
なんでこんな姿に…!
里見先生…。
はい。
よし江初期のがんやから
手術すれば助かるって
言うてたやないですか。
なのになんで…。
病理解剖というのを
ご存じでしょうか?
解剖して
直接の死因がはっきりすれば
もしかしたら納得できる部分も
あるかもしれません。
よし江今さら解剖やなんて…。
こんなに苦しい思いをした
この人に…
まだ痛い思いをさせるやなんて
私には…。
そうですか…。
庸一やってもらおうや
お母さん。
庸一自分がなんで死んだんか
その理由もわからんかったら
お父さんがかわいそうやんか。
そうやね。
そうかもしれんね…。
よし江せやけど…。
顔だけは
傷つけんといてください!
よし江お願いします…。
拍手
ダンケシェーン。
携帯電話の振動音
足音
先生
深夜の執刀のご依頼恐縮です。
大河内恒夫いや解剖とあれば
病理の教授が駆けつけるのは
当たり前だ。
ありがとうございます。
この方は
いつか君が僕のところへ
相談に来た患者なんだね?
そうです。
そうすると
共に僕の教え子である
里見くんが内科的診察をし
財前くんが手術をした患者を
僕が解剖するという
巡り合わせか…。
先生準備ができました。
カメラのシャッター音
大河内午後時分
佐々木庸平さんの病理解剖を行う。
市田崇財前先生今日の手術は
素晴らしかったです。
その後の講演に関しましても
ハイデルベルク大学だけでなく
他大学の教授たちも
絶賛しておりました。
花森ケイ子の声えっ…
検査せずに手術をやったの?
優秀な内科医の里見さんが
そこまで言うんだから
何かあるんじゃない?
ケイ子手術が成功しても
目には見えない何かが…。
市田財前先生
何か日本で突発的な事でも?
別に大した事じゃないんだ。
大した事じゃ…。
血管内リンパ腫?
それが原因で肝不全となり
血液凝固障害を起こして
死亡したと考えられます。
正式な死因は血管内大細胞型
細胞リンパ腫です。
あの…もう少しわかりやすく
説明して頂けませんか?
つまり血管の中で
腫瘍が増殖する病気なんですが
ご主人の場合
肝臓の中で起こりました。
手術した膵臓がんとは
全く別の腫瘍です。
全く別…。ほな財前先生は
この肝臓の病気を見落としてた
いう事ですか
柳原いやそうとは言えません。
手術前には発症してなかったとも
考えられます。
よし江
話がおかしいやないですか。
財前先生は
手術の前もあとも膵臓以外は
どこも転移してないって…。
手術の前に
肝臓にがんがなかったとしても
手術後に高熱が出て苦しんでる時
あんたらは
術後胆管炎言うてたの
どういう事や?
庸一黙ってないで
なんか言うてや!
肝臓の病気やのに
胆管炎言うて治療して…。
財前先生が間違えてたって事か?
庸一くん
確かにお父様の死因は
膵臓がんではありませんでしたが
現時点でそれが
財前教授のミスだと決めるのは
適切ではありません。
このあと
より精密な解析の結果を待って
財前教授と経過を十分に検討し
この事態が防げたかどうかを
判定し
初めてミスと言えるかどうかが
明らかになります。
あとは…
医療事故調査制度という
第三者が原因を究明する
システムもあります。
よし江もしその調査で
財前先生に落ち度がなかった
という結果が出たら
なんも責任取らんのですか?
お父さんは
大学病院のモルモットやないで…。
庸一里見先生にはいろいろと
ご親切にしてもらいましたが
父がこんな死に方をしたのは
どうしても悔しい…。
僕は
この問題を徹底的に追及します!
鐘の音
雷鳴
雷鳴
よし江本日はおみ足の悪い中
お見送りを頂きまして
ありがとうございます。
霊柩車のクラクション
女性病院のベッドで撮った
写真が遺影やて
しゃれにならんなぁ。
せやけどな
あの写真しかなかったらしいで。
かわいそうやなぁ…。
男性関西信用金庫さんとこは
ええわな
店の土地担保にしてるさかい。
いやいや佐々木さんの豪腕に
貸したようなもんやさかいなぁ。
土地だけじゃ足りんし
庸一くんもまだ大学生や。
あとどないすんのかなぁ?
杉田寿宏そんな話
ここでせんでも
ええやないですか。
里見先生…帰りましょう。
ああそうしようか。
呼び出し音
携帯電話の振動音
柳原あっちょっとすいません。
携帯電話の振動音
雷鳴
携帯電話の振動音
市田財前先生!お時間です。
杉田奥さん庸一くん
おかえりなさい。
よし江みんな
今日はご苦労さんでした。
庸一ありがとうございました。
杉田奥さんちょっとでも
おなか入れはったほうが…。
よし江ああすんません。
ありがとうございます。
庸一はい。
よし江ありがとう。
これからどないしはります?
なんせこの人が
人で切り盛りしてきた店やし
私はなんもわからんから…。
杉田庸一くんが
来年大学卒業しはるまで
奥さんが社長になって
店続けはったらどうです?
私が?
銀行にいくら借入金があるのかも
よう知らんし
取引先との売掛金も
把握してないで。
それやったら
及ばずながら私も引き続き
一生懸命やらせてもらいますんで
頑張ってみませんか?
お母さんやろう。
頑張ってみようや。
お父さんが
ここまでやってきた店やし
潰すと化けて出てくるで。
せやな。
化けて出てくるかもしれんな。
よし。そうと決まったら
みんなに言うてきますわ。
明日からも
よろしゅうお願いします。
ありがとうございます。
お母さん。
うん?
俺あの医者を訴えるわ。
よし江…そうか。
でも何しても
お父さん帰ってこんなぁ…。
あっここや。ここ。
ノック
はい!
関口徹ありがとう。
あっ佐々木さんですよね?
よし江はい。
すいません遅くなっちゃって…。
座ってください。
関口です。関口です…。
信号待ちで
バイクと自転車の事故を
目撃しちゃって
運転手同士が
取っ組み合いを始めたので
仲裁してたら
交通課の実況見分にまで
付き合わされちゃって…。
遅くなるって
電話しようとしたんですけど
携帯電話ここに忘れちゃって…。
あの…すみません。
で詳しいお話を。
あっ…。
大阪綿布協同組合の顧問弁護士の
八木先生からのご紹介で
伺いました。
大体の話は
八木先生から伺っておりますが
医療裁判は
圧倒的に医者に有利なんです。
医者同士がもたれ合い
医療ミスに関して
証言してくれる事が少なくて…。
関口の声国立の大学病院は
自分たちの威信をかけて
医師を守るでしょう。
勝てる見込みは
ますます低くなる。
庸一の声父が誠意を持って
治療を受けた上で
死んだんやったら
諦めもつきますが
あんないい加減な扱いをされて
最初の診断と違う病気で死んで
諦められないんです。
わかりました。
詳しいお話を聞かせてください。
記者あっ出てきたぞ!
カメラのシャッター音
記者浪速大学病院の
財前教授ですね?
今回の件について
一言お願いします。
ドイツの学会については
改めて報告会を…。
記者何言ってるんですか?
訴訟の件ですよ。
記者今回の事は
どうして起こったんでしょうか?
記者真実を教えてください。
記者
財前教授一言お願いします!
財前又一なんもしゃべったら
あかんで。
さあどいてどいてどいて!
今なんもしゃべれへんねや!
ノーコメントや!
ノーコメントや!
どいて言うてますやん!
どいて!どけて!
又一どけどけどけて…!
どけ言うとりますやろ!
さあさあさあさあ…。
不愉快だね
こんな夜遅くに大声で…。
今日の夕刊だ。
いきなり訴状を出されて
大変な事になってるよ。
ああ…。
柳原血液検査で肝機能の数値と
炎症反応が少し気になります。
念のため
を撮っておいたほうが…。
肝臓に併発疾患の可能性も
あるんじゃないか?
今頃肝臓がどうこう
なんていうのはあり得ない。
申し訳ありません…。
先ほど空港で
今回の事を初めて知り…。
又一先生!
裁判所から
いきなり訴状が届いたと
娘から連絡があり
藪から棒の知らせに
さすがの私も
参ってしまいましたんや。
参ったのはこっちだ!
君を教授に推したばかりに
私は自分の立場まで
危うくしてるんだぞ!
今回の件は
明らかに遺族の誤解で
私は何一つ
後ろめたい事はありません!
鵜飼典江あらまあ…。
新聞には佐々木庸平の手術後
君が彼を一度も診察しなかった
医師としての怠慢が
患者を死に追いやったとあるが…。
確かに…確かにあの時期は
ドイツ行きの準備に追われ
佐々木さんの診察が
できませんでした。
しかし担当医である柳原には
しっかり
適切な指示を与えておりました。
もし診察上の事故だと
認められるような点が
あったとしても
それは私が
ドイツに行っている間に起きた
医学上の不可抗力です!
医学の素人がいきなり
私が誤診をしたなどという訴えは
承知できません!
だが遺族はこちらが
どんなに説得しようとしても
聞く耳を持たない。
困るんだよ裁判沙汰なんて!
申し訳ありません…。
鵜飼早速
今津先生から嫌みを言われたよ。
君を教授にしたのは
間違いだったとね。
すでに
旧東派の教授たちと組んで
君から第一外科教授の地位を
剥奪しようと動き出している。
又一教授のミスは大学のミス。
五郎が敗訴になったら
大学も敗訴です!
万が一
裁判に負けるような事になったら
学部長である鵜飼先生の
経歴名誉にも傷がつく。
やがて
学長選挙が行われる時にも
いろいろ影響してくるのと
違いますか?
降りかかる火の粉は
払わないかん!
金に糸目はつけまへん。
どうかよろしゅうお願いします!
鵜飼浪速大学の名誉のために
今回は君の言葉を信じよう。
お心のほど
ありがとうございます…!
呼び出し音
ケイ子「ほーらね五郎ちゃん
調子に乗って
失敗しちゃったのね」
「甘えん坊の奥さん
大騒ぎしてるんじゃない?」
「“おかえりなさいとか
“大丈夫?が先だろ」
しばらく会えないかもな。
ケイ子男は
五郎ちゃんだけじゃないから
私は平気。
「でもドイツに行ってて
不在中に起こった事が
不幸中の幸いかもね」
ケイ子こうなったら
五郎ちゃんの持ってる
学識と政治力を駆使して
あらゆる手段を取ってでも
医療ミスを認めない事ね。
「明日からは
とっても忙しくなるわよ」
わかった…。
「声が聞けてよかったよ」
ため息
財前杏子今日は
くれない会のお茶会があったの。
こんなふうに書かれて
恥ずかしくて行けなかった
もし裁判に負けたら
どうするつもり
負ける…。
そんな事は絶対にないよ。
そのためには
どんな手だって打つ。
手を打つって…どんな?
どんな
それを考えるためにこんな…!
もし
教授の肩書がなくなったら…!
君に迷惑をかけるつもりはないよ。
操作音
もしもし。
財前先生おはようございます。
空港にお見送りも
お迎えも行けず
申し訳ありませんでした。
そんな事は気にしてないよ。
すぐに柳原くんを
僕の部屋に呼んでくれ。
佃はい。すぐに行かせます。
救急車のサイレン
ノック
失礼します。
君のカルテを見たところだ…。
あっはい…。
大体教授の不在時には
准教授の金井が
教授の代理じゃないか。
馬鹿の一つ覚えみたいに
私の言う事を守らず
なぜ金井に相談しなかった?
君は担当医として
何をしてたんだ?
申し訳ありません。
解剖の執刀は誰がしたんだ?
病理の大河内教授が直々に…。
大河内教授…!
なっ…!
君はなんて
私の不利な事をしてくれるんだ
術後の処置といい
君は担当医師として
全くなってないよ
申し訳ございません!
まあいい。
起きてしまった事は仕方がない。
落ち着いて話し合おうじゃないか。
座れ。
座れ!
はい。
失礼します。
このカルテ…まだ仮登録だな。
はい。
財前先生の許可を頂いてから
院内のシステムサーバーに
登録致します。
「肝に腫大あり
表面に癒合性の白色斑などの
異常所見認められるも
教授の指示で生検など施行せず」
このカルテ…
私と君の将来にとって
どう影響するだろうか?
里見の声柳原先生
術後胆管炎ではなく
やはり
肝臓に問題があったんだね…。
父がこんな死に方をしたのは
どうしても悔しい…。
僕は
この問題を徹底的に追及します!
もしかしたら
書き間違えたのかもしれません。
わかればそれでいい。
行っていいぞ。
…はい。
失礼します。
…待て。
もう一つ…。
はあ…。
おかえり。
なぜ遺族に解剖を勧めた?
手術後に急変して
しかも術後胆管炎ではなく
肝不全で死亡したとなると
なぜそうなったのか
遺族に説明する責任が
医者にはあると思ったからだ。
佐々木さん…
実際には
血管内リンパ腫だったよ。
おかげで僕は訴えられたよ。
…ああ。
君は純粋な善意から遺族に
解剖を勧めたのかもしれないが
取りようによっては
教授になったばかりの僕を
陥れるために…。
そんな言い方はやめろ!
お前は佐々木さんが
あのように亡くなった事を
もっと謙虚に厳粛に考えるべきだ。
現に僕に約束した検査も
しなかった…。
君こそ言葉には気をつけろ。
僕の処置が誤っていたかどうかは
今後の裁判が決める事であって
お前にとやかく言われる
筋合いはないんだよ。
財前…
お前と僕とは
医師としての在り方が全く違う…。
そうだな。
ドイツのお土産だ。
こんな感じで
渡したくはなかったよ。
どうだ?国平くん。
原告は
国立の浪速大学病院に加え
財前教授個人を
名指しで訴えております。
それほど私の事を恨んでると…。
国平そういう事でしょう。
原告が訴えているのは
財前教授に医師としての怠慢が
あったのではないかという
注意義務違反と
術前および術後に
診断ミスがあったのではないか
という診療過誤です。
河野こうなる前に示談に収める
手もあったんですがね。
しかし容体の急変も含め
私が海外に行ってる間に
起きた事で全て後手後手に…。
こうなったら
裁判で勝たない事には
財前教授の正当性は
証明できません。
今回の件は単に
財前教授個人の問題ではなく
浪速大学病院の名誉と権威が
かかってるんです。
裁判費用の事でしたら
いくらでも都合致します。
財前教授それは本当ですか?
はい。
フフッ…。
国平…。
久しぶり関口。
浪速大学病院と財前教授の
代理人をする事になった。
同じ事件を
担当する事になるなんて
フッ…皮肉なものだな。
…なんの用だ?
腹を割って話そう。
この手の裁判で
原告が勝つ事はない。
だが幸い財前教授は
示談金はいくらかかっても
構わないと言っている。
君の顔が立つ金額で
話をまとめよう。
依頼人は
示談に応じるつもりはない。
国平フッ…たかが
小さな繊維問屋じゃないか。
やり手の経営者が亡くなり
後継者も育っていない。
小切手をちらつかせば
すぐに気持ちも変わる。
そう思ってさ。
相変わらずだな…お前のやり方。
実際にかかった
治療費入院費葬儀代
合計万に
大黒柱の佐々木氏が
将来見込めた収入分の
逸失利益万
本人の死亡慰謝料万
弁護士費用万
合計万の賠償金を
請求したって
裁判に負けたらゼロだ。
お前ならわかるだろう?
週末まで返事は待ってやる。
店員いつも
お世話になってるんですけど
すいません…。
ちょっと今回…。
そうですよね…いつも
お世話になってるんですけど…。
示談
はい。財前教授は
賠償額の倍を出しても構わないと
言っているそうです。
倍って…億万
よし江お金が欲しくて
訴えたわけやない。
ご主人が
お亡くなりになったあとも
この商店を存続させたいと
考えていらっしゃるなら
資金は
多いに越した事はありません。
示談も選択肢の一つかと…。
実は…
以前私
河野法律事務所にいたんです。
えっ?
ある訴訟で
依頼人を
自殺に追い込んでしまって…。
大企業で起きた
セクハラ訴訟でした。
私は企業側の和解金を
つり上げるため
依頼人の女性に
裁判を続けるよう説得しました。
和解金額が上がれば
弁護料が上がるという
事務所の方針に逆らえなかった
私のミスです。
彼女は法廷での執拗な尋問に
耐えられなかった。
庸一だから俺たちの依頼を
引き受けてくれたんですか?
河野法律事務所に
リベンジしたくて…。
初めはそのつもりでした。
でも財前教授が提示した
示談金の額はあまりにも大きい。
私個人の感情なんて
もうどうでもいい。
よし江お金やない。
私らはなんでお父さんが
死ななければいけなかったのかを
知りたいだけです。
先生力を貸してください。
お願いします。
国平の声向こうは
示談に応じる気は
なさそうでしたね。
億万でもですか…?
河野とも相談しまして
こちらも本格的に
裁判の準備にかかりますが
やはり裁判のポイントは
佐々木さんが亡くなられた時の
事情をよく知っている
柳原先生と里見先生
という事になります。
柳原のほうは
手を打ちますので大丈夫です。
国平里見先生の言うとおり
検査を行い
血管内リンパ腫の診断が
できていたら
速やかに治療は行えた…。
そこを突かれると
こちらとしても痛いですね。
施錠音
チャイム
チャイム
ノック
ノック
ノック
なんだ…
病欠だと聞いて来てみたが
元気そうじゃないか。
いよいよ裁判が始まるな。
…はい。
ところであの件はどうした?
あの件っていうのは…?
君が書き間違えていたかも
しれないと言っていた
カルテの件だ。
正しく直したか?
いえ…。
それは困るな。
里見もしつこく言っていたが
術前に検査なんか
するわけがない。
あの時点で肝臓に
異常は認められなかったんだから。
君のカルテのままだと
まるで私が
肝臓の異常に気づいていたのに
何も手を打たなかった
みたいじゃないか。
患者が亡くなったのは
不可抗力だった。
そうだろ?
宮崎のご両親は元気か?
はい…。
安心させてやるためにも
そろそろ
身を固めたほうがいいな。
えっ?そんな相手いませんし…。
知り合いに京都につほど
ドラッグストアを持ってる
社長がいるんだが
そこの娘さんが
お見合い相手を探してる。
その前に…これだ。
明日そこへ連絡して
会ってきてくれないか?
裁判の想定問答を
リハーサルしたいそうだ。
財前教授おかえりなさい。
フフッ…ハハハハ…。
フフフ…。
なんだよ…。
ごめんごめん。
だって五郎ちゃん
目をぎらつかせて
貧相な顔してるんだもの。
疲れてるんだ…。
弁護士との打ち合わせ
病院では平然としながら
外来の診察回診手術…
ドイツの報告書も
書かなきゃいけない。
裁判沙汰になっても
今までどおり
第一外科の財前先生に
お願いしたいという
大勢の患者が来るの?
白い猫であれ黒い猫であれ
ねずみを捕るのがいい猫なんだ。
うん…。フフッなるほど。
ねえ…。
証人尋問には
こちらからは誰が出るの?
金井だ。
金井准教授…。
あの人は元々
東教授の直系の弟子じゃない。
大丈夫?
大丈夫だ。あいつは
俺の代わりに仕切っていたのに
こんな事になったから
不利な証言をしない。
五郎ちゃんの事だから
きっと
誰にも本当の事を言わずに
うまくつじつまを
合わせてるんでしょう?
底の知れない冷たい人だから。
私はそんな五郎ちゃんだから
好きなんだけど。
物音
操作音
ハアハアハア…。
ドアの開く音
書記官皆さんご起立ください。
河野財前教授の
ドイツ出発前の様子を
教えてください。
ドイツの準備と
患者の診療引き継ぎで
多忙を極めてらっしゃいました。
海外での学会出席の場合
出発前の日間ほど
大学を休むのが通例ですが
財前教授は一日も休まれず
第一外科全般の診療指示を
してらっしゃいました。
河野その多忙さが
佐々木庸平さんを
直接診察できなかった原因だと
思いますか?
はい。そのとおりだと思いますし
教授クラスの医師が
執刀した患者を
術後必ずしも
診察するとは限りません。
河野財前教授から
佐々木庸平さんの受け持ちを
指示された
柳原医師の医師としての能力を
どう思われますか?
金井勤務成績は優秀
人柄は誠実勤勉
極めて良心的な医師だと思います。
河野あなたが柳原医師から
佐々木庸平さんの事について
相談を受けた時
その容体についてなんの疑問も
持ちませんでしたか?
少し抗生物質の効きが悪いとは
思いましたが
術後胆管炎の経過には
個人差がありますので
財前教授の診断や指示に
疑問を持つ事はありませんでした。
関口あなたは
柳原医師の要請を受け
佐々木庸平さんの様子を
見に行かれた時
柳原医師に
何か指示を出されましたか?
金井いや柳原先生は
財前教授からの指示を
受けていましたので
特に私からは…。
すると柳原医師は
財前被告の指示どおりに
処置を行った結果
佐々木庸平さんを死に至らしめた
という事で間違いないですね?
いや…。
関口つまり財前被告の指示に
なんらかの不備があった
という事ですよね?
お答えください。
河野裁判長!
ただ今の尋問は
悪意に満ちています。
裁判長異議を認めます。
では質問を変えます。
あなたは
どうして佐々木庸平さんの容体が
突如急変し
死に至ったとお考えですか?
私は担当医ではなく
私自身が手術したわけでは
ありませんから
その点については
なんとも言えません。
関口では最後にもう一つ。
関口あなたは
財前被告の診察や手術が
正しかったと思いますか?
金井
教授自身が術前検査を行われ
その上で手術したわけですから
私は財前教授の判断を信じます。
関口以上です。
鍋島貫治さすが金井。
肝心な事は
何一つ言うてませんね。
五郎くん
うまい事言い含めよったなぁ…。
関口
浪速大学病院の大河内恒夫氏を
証人として
次に予定しております。
裁判長
ではお呼びしてください。
又一問題はこの大仏さんや…。
鍋島手ごわいなぁ…。
関口解剖はどこに重点を置いて
行われたんでしょうか?
第一は直接死因は何であったか。
第二は死亡前に認められていた
肝不全の原因。
第三は膵頭部の手術は
成功していたかの点です。
それで直接の死因は
なんだったんでしょうか?
肉眼的所見と迅速組織診断
および
解剖後の病理結果から見て
肝臓内に
広範な血管内リンパ腫があり
それによって肝不全を起こし
死亡したものと推定される。
関口血管内リンパ腫は
いつ頃から起こっていたと
考えられますか?
大河内その時期を
明確に割り出す事は不可能だが
死亡する月日より相当程度
前である事だけは断言できる。
血管内リンパ腫の
症状というのは
財前教授がドイツに
行かれてる間に起こったという
解釈でよろしいでしょうか?
私は死ぬ直前ではないと
言っただけで
ドイツに行く前なのか
ドイツに行ってからなのかは
わからない。
国平この病理所見の記録にある
「肝臓内に胆汁うっ滞が見られる」
というのは
胆管炎の症状だと考えて
よろしいですか?
確かに胆管炎の症状は
起こっていたと言える。
国平
では財前教授の診断どおり
術後胆管炎は
確かに起こっていたと…?
いや…
その炎症が
果たして術後胆管炎なのか
血管内リンパ腫による
二次的なものなのかの判断は
つかない。
佐々木庸平さんの遺体は
なぜ解剖したのですか?
いくらご遺族の
希望があったからとはいえ
死因に興味を持ち
医師から強く解剖を勧める事は
患者を研究材料として扱う
死者を冒涜する行為なのでは
ないでしょうか。
病理解剖とは
一つの生命の帰らぬ死を
次の人の生によみがえらせる
尊い手段である。
心ある臨床医なら
死因に少しでも疑問があれば
遺族に解剖を勧めるのが
当たり前で
あなたのように病理解剖を
医者の学問的興味によるものと
決めつけるような
軽率無礼な方は
医学のなんたるかを
何もご存じないと思う。
私の尋問は終わります。
裁判長から尋問します。
解剖結果を受け財前被告が
手術すべきであったか
すべきでなかったか
あなたの考えを聞かせてください。
大河内主治医が膵頭部の
悪性腫瘍にメスを入れたのは
当然と言える。
事実膵頭部の手術は
完全に成功している。見事だ。
問題は術前に必要な全身検索を
行っていたかどうかです。
仮に血管内リンパ腫による
肝臓の異変に気づいていたのに
検査を怠り全身を顧みる事なく
ただ局所的に
メスを入れたのであれば
財前教授は臨床医として
注意義務に欠けている
と言わざるを得ない。
傍聴人のざわめき
裁判長静粛に。
仲居失礼致します。
遅くなりました。
鵜飼まずかったねぇ。
まさか大河内教授があそこまで
踏み込んで意見されるとは。
教授選挙の時からあの人には
振り回されっぱなしでよ…。
相当手厳しい証言をされると
覚悟してましたが
さすがにショックでした。
おっ…さあさあさあ…。
ハハハ…。はいさあさあさあ…。
大河内の意見
裁判長の心証に与えた
影響っちゅうのは
どんなもんなんやろ?
とにかく
不利な証言を挽回するには
それを上回る反対の証人を探して
裁判所の心証を良くする事です。
となると…。
柳原ですね。
又一柳原ってあの医局員のか?
はい。父親は
宮崎で郵便局長をしていて
三人兄弟の長男。
第一外科ではまだ下っ端です。
ああ…。
例の話な先方につけといたで。
ありがとうございます。
裁判というのは力の問題です。
全て力の…。
そのとおり!
ハハハ…力や。ええ?
原告側がどないしようが
浪速大学や河野先生
国平先生相手に…ハハハハ…!
かなうわけがないがな!ええ?
五郎くんあんたにはな
こうやって
皆さんがついてんねん。
金輪際負ける事あらへんで!
ハハハハ…!
河野と又一の笑い声
又一さあさあこれ…。
どうですか?
ハハハ…はいはい。
里見三知代
ナイスキャッチ!はい。
いくよ!せーの…。
おっナイスキャッチ!
あっ…フフフッ。
お母さんもナイスキャッチ。
三知代あっ…。
はい。
里見好彦
お兄ちゃんありがとう。
三知代すいません。
好彦くん
お父さんお家にいるかな?
休日に押しかけてしまって
申し訳ありません。
あっいえ…。
私が伺った理由は
もうわかってらっしゃると
思いますが…。
あっはい。
今朝佐々木さんの奥さんから
お電話頂きました。どうぞ。
その件でどうか
お話を伺えたらと思います。
はい。
ええ…財前教授と僕は
学生時代からの友人でして
同じ志を持つ医師として
お互い励まし合ってきました。
彼がこういった形で
訴えられた事には
心を痛めてますし
一日も早く裁判から解放されて
研究や診療に打ち込めるようにと
願っています。
はい…。
しかし今回の事は
もしかしたら佐々木さんは
こんなに早く亡くならずに
済んだかもしれません。
僕は医師として
きちんと佐々木さんの死の原因を
明らかにする事が
浪速大や財前そして
医学を志す
後輩たちのためになると
信じてます。
佐々木さんの術前
検査という検査なんですが
受持医の柳原先生と僕が
財前教授に行うよう頼みました。
ですが彼は必要ないと…。
里見先生も?
はい。
よし江さんから
その検査の件で
柳原先生と財前教授は言い争った
という事は聞いています。
はい。そのあと
柳原先生から話を聞いて
僕も財前教授に
検査をするよう頼み
その場では検査をすると
約束してくれたんですが…。
もし財前教授が進言どおりに
その検査を行っていたら
肝臓のリンパ腫は
発見できたと思いますか?
恐らく高い確率で…。
浪速大学病院での
里見先生の立場に影響があるのは
承知の上でお願いします。
今おっしゃって頂いた事を
法廷で証言して頂けませんか?
関口お願いします!
三知代私は反対よ。
浪速大学に盾突く事になるわ。
家族はどうなるの?
真実を明らかにするのは
あなたじゃなくてもできる。
でもこの家を守れるのは
あなたしかいない。
僕は医師として
恥じるような事はしたくない。
なぜ自分の将来をかけてまで
たまたま初診をしただけの
患者のために証言するの?
私はあなた自身と好彦のために
大学に残って教授になり
研究を続ける道を選んでほしい!
僕もそれが目標だった。
でもあの患者の死因を
正確に突き止め
死を無駄にしない事は
僕にしかできない事だ。
好彦喧嘩やめて。
三知代
ごめん…。ごめんね好彦。
自分の事だけ考えていられたら
どんなに楽か…。
でも僕は医者だから。
原告側の証人として
出廷するそうだね。
君には君の考え方
言い分もあると思うが
本学としては今回の件は
財前くんの不在中に
不幸な不可抗力によって起きた
事故だという認識だ。
よって君も
本学の意向を尊重した
証言をしてくれると思ってるが。
明日の裁判では
医学的に厳正な事実だけを
証言するつもりです。
だがそれによって
一人の前途ある有能な教授の
学問的生命が
断ち切られるかもしれないんだぞ。
僕の証言が財前教授の不利になる
証言になったとしても
佐々木さんに対する
財前教授の医師としての態度は
許されるべきものではなかったと
思います。
わかった。
君の思いどおりにすればいい。
もう行きたまえ。
失礼します。
ああそうだ里見くん。
山陰中部大学健診センターの
教授のポストが
ずーっと欠員になっててね。
誰か推薦してほしいと
頼まれてるんだ。
はあ…。
学生の指導や職員の健康管理が
主な業務で
研究はほとんどできない。
…がともかく教授だからねぇ。
君もそろそろ
教授になる年齢だ。
これどうだい?
東佐枝子
延滞をした医局の先生たちに
早く返してくださいって
お願いして回ってるんです。
皆さんお忙しいから
なかなか返しに来てくれなくて。
そうですか。
…あれ?僕はまだ大丈夫かな?
里見先生は
あと日の猶予があります。
あっフフフ…よかった。
そういえば父が財前先生の裁判を
心配してました。
ああ…そうですねぇ。
落ち着いたら
東先生にご説明に伺います。
明日の証人尋問
僕は原告側で証言するので
それが終わったら。
えっ…里見先生が?
はい。
先生の事ですから
よくよくの覚悟を持って
証言されるんでしょうけど
大学での立場が
悪くなるのではないですか?
野田和夫もう財前先生には
長男の嫁や長女のお産と
何から何まで
お世話になってしもうて。
今度は
この華子の縁談のお相手が
浪速大学の財前教授の
お弟子さんっちゅう事で。
もうこれはなんちゅうて
お礼を言うていいのか…。
この柳原くんは
私が特に目をかけてる
優秀な医師でして。
年内には医学博士にと
私も期待してるんですが。
ですが私は全く
一介の医局員でありまして
とても華子さんとは
釣り合わないかと…。
柳原先生のご事情も
全て伺うちょります。
失礼ですが経済的なご心配は
せんでください。
うちの家に国立大学の偉い先生が
来てくれましたら
格が上がって箔が付く!
野田…っちゅう事ですわ。
杏子
浪速大学の医師の夫を持つと
何かと大変ですが
忙しい夫を支え家庭を守る事は
とてもやりがいを感じます。
華子さんも立派な医師の
奥さんになれますね?
又一これ杏子!
ええ年してそんな人前で
のろけるもんやあらへん!
杏子
あら五郎さんの自慢だったら
私よりお父さんのほうが
かっこ悪いぐらいじゃない。
ええ?こりゃ参ったな。
野田と又一の笑い声
野田さあさあ…。
又一ハハハ…。
さあさあさあさあ…。ハハハ…。
関口初めて佐々木庸平さんの
診察をされた時の
財前被告の診断は
どのようなものでしたか?
膵頭部に
極めて初期のがんがあると
診断されました。
関口あなたは術前の
佐々木さんの血液検査の
結果を見て
財前被告に
検査をしたほうがいいと
言いましたね?
はい。
関口血液検査の結果は
どのように知ったんですか?
佐々木さんの受持医だった
柳原先生から聞きました。
関口
柳原先生はなぜその情報を
あなたに与えたんでしょうか?
彼も
検査をする必要があると
考えていたからだったと思います。
佐々木さんの回診の時
その是非を巡って
財前教授と話し合ったと
言っていました。
関口つまり財前被告は
その時点で柳原先生から
検査を進言されていた
という事ですよね?
そう思います。
関口そして
あなたも検査を進言した。
はい。
関口それに対して財前被告は
なんと答えました?
肝機能異常は脂肪肝のせいだと
言っていました。
それであなたは?
念には念を入れてを
撮ってくれと頼みました。
財前教授は
「わかったは撮る」と
約束してくれました。
…にもかかわらず財前被告は
検査をしなかった?
はい。
傍聴人のざわめき
関口検査は
初期のがんの発見に
大きな成果を上げている検査です。
里見先生
もしその検査が行われていれば
肝臓のリンパ腫を
発見できていたと思いますか?
はい。そして速やかに診断し
適切な治療が行われていれば
少なくともこのように
早く死に至る事は
なかったと思います。
傍聴人のざわめき
裁判長静粛に。
つまり財前被告は
膵臓がん以外の病気を発見する
可能性があったのにもかかわらず
その処置を
とらなかったんですね?
そう思います。
河野裁判長!ただ今の尋問は
悪質な誘導尋問です。
関口尋問を終わります。
裁判長
宣誓書を朗読してください。
書記官起立してください。
「宣誓良心に従って真実を述べ
何事も隠さず
偽りを述べないことを誓います」
「証人柳原雅博」
裁判長お座りください。
国平あなたの記憶内容は
提出済みの
陳述書のとおりですか?
はいそうです。
本件でが発症したのは
いつ頃ですか?
財前教授が出発されたあとです。
それまでの肝機能障害とは違い
呼吸不全で苦しまれていたので
ステロイドの量を増やして
投与しました。
国平
その後一時容体は回復したが
また悪化したという事ですね?
はい。
ですから金井准教授に連絡し
気管内挿管と人工呼吸管理を行い
昇圧剤も用い
できる限りの
緊急処置をとったのですが…。
国平結果は不幸に終わった。
しかしあなたなりに
全力を尽くした事は
よくわかりました。
尋問を終わります。
裁判長原告代理人。
関口はい。
あなたは
患者さんの死後の病理解剖まで
血管内リンパ腫には
全く気づかなかったんですか?
はい。
関口では質問を変えます。
手術前何か
肝臓の血管内リンパ腫に
疑いを持つような症状に
気づきませんでしたか?
気づきませんでした。
では手術の際も肝臓周囲に
異変を認めなかったんですね?
柳原特に何も。
財前教授の手術は完璧で
滞りなく進み
出血量も少なく終わりました。
関口
ではもう一度お伺いします。
あなたは手術前も手術中も
佐々木庸平さんの体に
膵臓がんの症状以外の異変を
全く認めなかったんですね?
…はい。
柳原財前先生肝に腫大が…。
それに
変に白いところもあります。
生検に出したほうが
よろしいでしょうか?
元々脂肪肝があるからだ。
見ただけでわかるだろ。
関口おかしいですね。
里見准教授の証言によると
あなたは手術前
佐々木庸平さんの血液検査の
肝機能の数値が気になったので
財前被告に撮影を進言し
手術の際も異常を認め
肝生検を申し出たという事実が
明らかになってます。
柳原そんな事実はありません。
柳原さん
あなた何か隠していませんか?
柳原いや何も隠していません。
裁判長!原告代理人から
里見柳原両証人の対質尋問を
申請致します。
教授総回診で
佐々木庸平さんの部屋を訪れた際
あなたは財前被告に
撮影をしたほうが
よいのでは?と言いましたね。
柳原言ってません。
関口本当ですか?
柳原記憶にありません。
里見証人の証言によると
あなたは患者さんの
血液検査の結果に疑問を持ち
財前被告に撮影を
申請したが却下されたと。
また手術中生検を申し出たが
取り合ってもらえなかったと。
記憶にありません。
関口
里見証人いかがでしょうか?
私は確かに
柳原先生からそう聞きました。
覚えていないはずはありません。
関口里見証人は
こう言っておられますが。
柳原里見先生の
思い違いではないでしょうか。
記憶がないので
認めようがありません。
柳原先生なぜ嘘をつくんだ。
関口柳原さん。
ちょっとこっちを見てください。
関口あなたの言葉一つで
かけがえのない家族を失い
悲しみに打ちひしがれる
ご遺族が救われ
佐々木庸平さんの死が
無意味じゃなくなるんです!
あなたに
医師としての良心があるなら
勇気を出してご遺族のために
真実を述べてください。
里見証人の証言を認めますね?
関口認めますね
いいえ認めません。
全く記憶にありません。
里見先生。
ああ…佐枝子さん。
ご立派でした。
あなた…。
安西太郎柳原よくやった!
一同の笑い声
柳原ありがとうございます。
佃いやあ…。
お前本当に運がいい。
今や我が病院は
鵜飼派の一人勝ちだ。
鵜飼学長財前医学部長体制が
実現すれば
お前教授間違いなしだ!
ハハハ…!
待ってください。
そしたら僕はどうなるんです?
佃決まってんだろ。
柳原にあごでこき使われて
終わるんだよ。
それが嫌だったら今から
こいつにごますっておけ!
はい。先輩お疲れさまでーす!
佃ハハハハ…!
早いんだこいつ。
ごますらせたらうまいんだよ…。
店員お待たせしました。
ひれ酒です。
佃あっ来た来た来た来た…!
じゃあここに置いてください。
杉田奥さん…。
よし江あっ…。
杉田お疲れのところ
すいませんがちょっとお話が。
あっ…。じゃあ庸一
先風呂入っておいで。
庸一ああわかった。
いや…こんな時に
したない話なんですが
銀行筋の資金繰りが
だいぶ苦しいんですわ。
メーカーや元売りも
商品の売り控えをし始めてきて…。
あれですなぁ…。
裁判がどうも
不利やと判断されたみたいで
地方の得意先も手形やのうて
現金で払うてくれ言うてます。
雁鉄砲やな。
雁鉄砲?
お父さんがよう言うてはったわ。
行儀良う並んで飛んでいる
雁の列に鉄砲が当たったら
バラバラッと散ってしまいよる。
あれみたいに中小企業の
ワンマン社長が倒れたら
店も
バタバタッて倒れるんやって…。
奥さん裁判がどうのと
私は難しい事ようわからんが
示談受け入れはったほうが
ええんちゃいますか?
そのお金で店守らんと
どないもならんですわ。
杉田さん
心配かけてすいません。
よう考えますわ。
ドアの開く音
ケイ子財前先生。
フフッ…あちらでお待ちですよ。
又一ああ…
遅うなってえらいすんまへん。
弁護士さんとの打ち合わせが
長引いてしもうて。
いえもう
先に始めさせてもろうてました。
岩田重吉裁判は大変やから
今日はパーッと
財前くんの激励会というわけや。
まあ座って座って。
あんたには
絶対勝ってもらわんと困る。
今回の裁判は単に
浪速大学病院の
権威と名誉だけやない。
我々開業医にも関わってくる。
鍋島もし財前くんが
負ける事にでもなったら
大学病院ですら
ミスがあるのやから
個人病院では当たり前という
そういうつまらん考えが
患者に植え付けられるかも
しれんねん。それがまずいんや。
はいわかっております。
ああ…
こんな大ごとになるとはなぁ…。
さあ先生方
まずは乾杯したらいかが?
ああそうやな。
つい興奮して忘れとったわ。
又一
ああそうやそうやそうや…。
なら岩田はん鍋島くん
五郎くんがきっちりあっさり
勝訴できる事を願うて
乾杯!
鍋島・岩田・財前乾杯!
財前先生どうでしたの?
今日の証人尋問は。
ああ…私が術前に
検査をしなかったせいで
患者の病気に気づかなかったと
まるで犯罪者扱いでしたよ。
里見くんは
これからが大変やなぁ。
又一そんなん自業自得や。
構へん構へん!
彼がやった事は私たちがすんでる
医学界からしたら
自殺行為ですよ。
財前先生と里見先生は
同じ医者でも全く違う。
どういう意味だ?
いえ…どっちがいいとか
悪いとかじゃないんです。
人とも名医と呼ばれ
患者からの信頼も厚く
たくさんの命を助けている。
でも里見先生は患者のために
患者を救うお医者さん。
財前先生は自分のために
患者を救うお医者さん。
その違いですわ。
失礼します。
ケイ子失礼します。
財前くんあんなの気にするな。
そうやそうや。気にするな。
今は
裁判に勝つ事だけに集中せな。
万一財前くんが
不当に責任を問われる気配が
出てきたら
医師会から
財前教授支持の声明文を出して
強力に後押ししてもええと
思うとるで。
ありがとうございます。
はあ…でも里見くんが心配だ。
大学を敵に回すような事は
しないほうがいいんだがな。
チャイム
ため息
東政子里見さんの馬鹿正直も
困ったものね。
佐枝子どうぞ。
あっこんにちは。
ああ…里見くん。待ってたよ。
政子お久しぶりですこと。
ご無沙汰してます。
そうか…。
金井くんと柳原くんがなぁ…。
いや財前くんの事だから
彼流に
どんなすべを使ってでも
裁判を乗り越えていくだろうとは
思ったが
まさかあの人が
そんな医者としての良心を失った
証言をするとは…信じられん。
里見さん
原告側の証人として証言されて
大学のほうは大丈夫ですの?
あなた
大変な勇気をお持ちですわ。
いえ…まあ…。
冷静な君の事だ。
一時の感傷や同情で
思い立った事ではなく
よくよくの覚悟を
決めての事なんだろう。
権威主義で封建的な
あの大学の中で
自分の将来を懸けての事だ。
里見くん
君は実に立派だ。
佐枝子もしお父さんが
里見先生の立場だったら
どうしてましたか?
そんな大学の雰囲気を
教授だった時に一度だって
改めようとしたでしょうか?
むしろ
その上に乗っかっていらした。
佐枝子さんなんて事を…!
私ちょっと頭を冷やしてきます。
佐枝子さんでも
突然感情的になる事が
あるんですねぇ。
私里見先生の将来を考えると
ご遺族に協力されないほうが
いいと思いますが
それと同じぐらい…
いえ…それ以上に
やっぱり里見先生らしく
医師としての誇りを守ってほしい。
ありがとう。
私…
里見先生の事が好きです。
佐枝子さん僕は…。
何も言わないでください。
国平あなた方が
財前被告に対して
求めてらっしゃる損害賠償
並びに慰謝料について
お伺いします。
万円という請求は
亡くなった佐々木庸平さんの
年齢や収入などを考慮しても
少し高すぎるのではないかと
思うのですがいかがですか?
お金が高いか低いかは
関係ありません。
私たちは
私たちのように医学に無知な
患者や家族でも闘える
無責任な医者の言いなりになって
泣き寝入りしなくていいんや
という事を訴えたいだけです。
法外な請求をしておきながら
そう言われても
ピンときませんが。
質問を変えます。
あなたが言うように里見医師が
本当に血管内リンパ腫の発症を
疑っていたら
当然あなたに伝えるべきじゃ
ありませんか?
それを伝えなかったのは
なぜでしょう?
なぜって…。
つまり里見医師こそ
ご主人が亡くなるまで
医師としての責任を
果たしていなかったんじゃ
ないでしょうか?
ようそんな事を!
血管内リンパ腫がどうの
術後胆管炎がどうの
専門的な事はようわかりません。
ただ里見先生は
ほんまに親身になってくれた。
財前先生はそうやなかった…。
それだけはわかります。
それは
あなたの個人的な先入観では?
違います!誰でもわかります。
里見先生の証言が真実です。
財前先生は嘘つきです!
手術のあと
何べんお願いしても
一回も
来てくれなかったやないですか。
その上受持医の柳原先生に
嘘の証言をさせて
自分の怠慢と誤診を
ごまかそうとしてます。
国平何を根拠に
柳原医師の証言が嘘だと?
場合によっては
名誉毀損罪になりますよ。
よし江
それなら私を罰してください!
その代わり裁判長
財前先生も
ちゃんと罰してください!
私の夫は
財前先生の無責任な診察で
死んでしまいました…。
これだけは
間違いのない事実です…!
難しい理屈を
こねくり回さなくても
この事実に基づいてちゃんと
財前先生を裁いてください!
それができなくて
なんのための裁判所ですか…。
お父さんを返して!
今すぐ生き返らせて…!
嗚咽
法廷でお涙ちょうだいって…。
そんなもんが通用すると
思うてんのかいなぁ?
あなたは里見医師が再三
検査を要請したにも
かかわらず
血管内リンパ腫など
肝臓合併症の可能性を無視して
手術した。違いますか?
それは里見医師の思い違いか
あるいは私に対する嫉妬心から
故意に事実をねじ曲げた発言かと
思われます。
そもそも
本件は糖尿の悪化で発見された
早期膵臓がんの症例です。
膵がんの手術は
急ぐ必要があったし
血管内リンパ腫は
極めてまれな病態で
膵がんとの関連もなく
確定診断をする事は
非常に難しいものでした。
苦しい言い逃れですね。
言い逃れをしているつもりは
ありません。
事実を話しているんです。
いえ…事実は
あなたが
術前検査を怠り
術中肝臓の異常を無視し
術後肝不全を診察せず
術後胆管炎だと決めつけた
誤診により
佐々木庸平さんを死に至らしめた
という事です!
いかに医学の素人とはいえ
医学者を侮辱するのも甚だしい。
何をもって
誤診と決めつけているのか
理解に苦しむ。
あなたも法律の専門家であれば
確たる証拠を示して
発言して頂きたい。
証拠さえなければ
誤診にはならない。
あなたは
そうおっしゃってるんですか?
誤診などしてないから
誤診ではないと言ってるんです。
あなたそれでも
国立大学の教授ですか?
裁判長。
今の発言は被告を不当に侮辱し
脅迫する暴言です。
取り消しを求めます。
裁判長原告代理人は
今の発言を取り消し
以後気をつけて尋問するように。
関口では
いかに国際学会へ出発前の
多忙な中だったとはいえ
患者さんの家族が再三
診察を求めたにもかかわらず
一度もその要望に応じなかった
その理由を聞かせてください。
その事なんですが…。
私は聞いていないんです。
関口ご家族が柳原医師に訴え
彼があなたに
何度も診察を求めたはずです!
ですから患者のご家族
柳原くんの思い違い
あるいは
記憶違いではないでしょうか。
聞いていれば
当然私は診察に行きました。
そんなんでたらめや!
裁判長この男は嘘つきです!
裁判長静粛に!
原告は席に着くように。
席に着きなさい!
はあ…。
元々医学というのは
多くの症例から導き出された
最大公約数の上に
成り立つものですが
残念な事に
現代の医学をもってしても
導き出せない症例がある。
今回の事案は
まさに現代医学の水準を
超えるものであり
どうしようもない不可抗力
もしくは不運だったと
言わざるを得ません。
あっ君ちゃん!どうも。
君子こんにちは。
おなか大きなったね。
君子だいぶ。
ふう…。
よいしょ…。
あっ起きてた。
よっこいしょ…ただいま。
亀山富治おかえり。
君子ふう…。
亀山なんやお前
そんな身重で重たいもん持って。
起こしてくれたら
一緒に行ったのに…。
君子だって夜勤明けだったし
ぐうぐういびきかいて寝てたし…
ありがとう。
君子
ありがとう。よっこいしょ…。
亀山これお前がおった病院と
ちゃうんか?
君子そうね。
亀山
なんかえらい事になってるぞ。
君子うん…。
ねえビール飲む?
ええな。もらおうか。
記者たち「財前教授!」
キャスター「記者の問いかけに対して
無言を貫いた財前被告」
「日本中が注目する裁判は
泥沼状態のまま
判決の日を待つ事になります」
呼び出し音
おはよう。
黒川キヌ「眠れんかったん?」
母さんこそ。
キヌ家族を亡くすとなぁ…
残されたもんは
すぐ死を受け入れんけぇ
誰かに責任を負わせとうなるんよ。
父さんを亡くした時の私も
そうじゃった。
キヌ「時間はかかるけど
向こうの家族も
わかってくれるわ」
うん。
五郎…。
落ち着いたら
いっぺんこっちへ帰っておいで。
「そうだね…」
「全然帰れてないなぁ…」
足音
また連絡するよ。
お母さん?
今日裁判所に行くから。
そうか。
誰か私に会わせたくない人でも
来る?
何言ってんだよ。
あなたが外で何をしてても
私には関係ないけど。
私たちそういう夫婦だし…。
ただ大学教授だけは辞めないで。
私とお父さんを
がっかりさせないで。
船の汽笛
ドアの開く音
書記官ご起立ください。
書記官ご着席ください。
ドアの開く音
裁判長判決を言い渡します。
「主文原告らの請求を
棄却する」
よっしゃ!
やった!
裁判長静粛に。
裁判長「当法廷は
柳原証人の尋問結果を
全面的に採用しない」
「財前被告は里見証人の
再三の要請にもかかわらず
術前の検査を行わず
術後患者佐々木庸平に発生した
発熱と全身状態の悪化を
術後胆管炎とのみ診断を下し
他の疑いを持たなかったのは
明らかである」
又一よっ!財前五郎!
裁判長
「しかしながら本件のように
極めてまれな
血管内リンパ腫の鑑別は
困難だったと判定され
それがただちに
同被告の法的責任を認めるものと
断定する事はできない」
記者たち財前教授!
記者財前先生!
記者一言お願いします!
記者財前教授!
カメラのシャッター音
記者一言だけお願いします!
記者お願いします!
カメラのシャッター音
記者亡くなられた患者さんに
一言お願いします。
心から
お悔やみを申し上げると共に
私は医師として今までと変わらず
一つ一つの命に対して
誠心誠意向き合っていく事を
お誓い申し上げます。
記者それだけですか
記者教授!
記者それでいいんですか!
記者たちの怒号
カメラのシャッター音
先生これが裁判ですか
法律は
こない冷たいもんなんですか?
たとえ何年かかってもいいです。
控訴してください。
もちろんです。
早速控訴の手続きをします。
私としても
このままでは引き下がれません。
関口先生…ご協力頂いたのに
申し訳ありませんでした。
他に何か手はあるんですか?
関口これは佐々木さんが
入院から死亡されるまでの診療に
関わった
医局員や看護師の
リストなんですが…。
赤で消してあるのは
話を聞こうとして断られた方です。
誰も話してはくれない
という事ですか…。
はい。
何人かは
病院が変わったり辞めたりで
連絡先がわからない方が
いるんですが
もし里見先生
ご存じの方がいたら
教えて頂けますか?
はあ…。
佐枝子あっ君子さん…。
ああ…
ご紹介が遅くなりました。
財前教授の前の第一外科教授の
東先生のお嬢さんで
佐枝子さんです。
今回の裁判東先生も佐枝子さんも
心配してくださって…。
東さんは亀山さんの事
ご存じなんですか?
はい。優秀な方で
父が最も信頼してる
看護師さんでした。
私もよく
休憩時間にお茶をしていました。
連絡先わかりますか?
病院を辞められて
携帯の番号も変わってしまって
困っているんです。
携帯の番号までは…。
あっ…でも年賀状があります。
自宅の住所でしたらわかります。
佐枝子さん裁判に関わる事は…。
いいえ里見先生。
君子さんの事は
よく知ってますし
私にできる事は
これくらいですから。
ありがとうございます。
財前の声ここからの風景
残酷だなって思うんだ。
残酷?
財前の声生きる者と死にゆく者
若者と老人…。
それを俺は
ここから全て見ている。
俺はなんで
こっち側にいるんだろう?って
不思議だった。
携帯電話の振動音
はい。
例の山陰中部大学健診センターの
後任教授の件なんだが
来月から
君に行ってもらう事にした。
どうやら
覚悟はできてるようだね。
はい。
ドアの開く音
失礼します…。
失礼します。
鵜飼おお財前くんおめでとう。
私の医学的信念が認められました。
鵜飼先生にはご心配をおかけし
申し訳ございませんでした。
里見。
僕の誤診の疑いが晴れた事
君も友人として
喜んでくれるよな?
財前…。
お前の医師としての良心は
この結果に満足してるのか?
鵜飼まあまあいいじゃないか!
裁判は終わったんだ。
そうだ財前くん里見くんはね
山陰中部大学健診センターの
後任教授に赴任するんだよ。
そうか。僕は裁判に勝ち
君は教授になったというわけか。
おめでとう!
向こうに行っても頑張ってくれ。
ドアの開閉音
ここは俺の場所だぞ。
お前の言っていた事が
今ならわかる。
ここは…大学病院という所は
生と死のはざまにある
不思議な空間だ。
人は必ず死ぬんだよ。
医者が何百人という患者を
全て救う事なんか…。
不可能だ。
違うそういう事じゃない!
お前は医者としての自分に
もっと厳しくあるべきだ。
医療は人間の祈りだ。
神をおそれ神に祈るような
敬虔な心で
患者の生命と尊厳を守る。
それができないなら
医療に携わる事は許されないと
学んだしそう信じてきたはずだ。
違うか?
これっきり
会う事もないだろうな。
さようなら。
患者のために
患者を救う医者と
自分のために
患者を救う医者…。
俺か。
大河内判決が出たそうだね。
はい。
里見くん君…。
長い間お世話になりました。
失礼します。
杏子あなたと結婚して
この年間は
あっという間だった。
講師から准教授
ようやく教授になったと思ったら
訴えられて…。
ごめん。心配かけたね。
ねえ。
裁判も片づいたし
そろそろ子供作ろっか。
…ああ。
お父さんも早く早くって
うるさくて。
財前家の
未来永劫の繁栄のために
教授の次は跡継ぎだって。
大げさよね。
私はあなたの跡継ぎを生めるけど
あの女には無理よ。
妻じゃないんだから。
人間の野望というのは
恐れを知らんものらしい。
君子証言します私!
よし江柳原先生!
ほんまの事言うて…。
いい加減な事を言うのにも
程があるぞ!
里見…俺を診察してくれ。
第4夜視聴率
視聴率:13.5%
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